<音楽が出ます、音量に注意>
理由は特にないが、
自分ではブルージーンズは似合わないと想っている。
間違いないと。
似合わないと決めつけていたはずなのに、クローゼットの奥に4本。
処分しようかと考えているとスマフォが震えた。
「ねぇ、気持ちいい青空よ、出かけてみない」
このまま家にいるより、
近頃、はびこる心の小さなくすみが消えるかもしれない。
淡い期待を抱いて、履いてみた6月のある日のこと。
なんとなく盛岡の街から西へ。
雫石、
よく見ると広く空が大きい。
国道46号線から、雫石の街にそれる。
稲はもう風に揺れるほどに育ち、緑を裂くように走る。
「今日は、空と同じ色ね、珍しい~」
街を抜け、鶯宿温泉に向かう道を少し走り、田圃の中へと左折する。
しばらく行くと農家レストラン・産直「葉菜」がある。
いつか来た時は休みだった。
見渡す限りの田園の中。
「まさか?」 って感じにカフェがある。
作り手たちは賑やかで、顔見知りのお客さんも多い様だ。
楽しくやっている感じが伝わってきた。
同乗者はというと「葉菜」の小さな産直を見たいと言って中に入った。
なかなか出て来なかった。見たり話したり、女性特有のあれだ。
勝手にテラスでcoffeeとハンドメイドのケーキの優しい味を楽しむことにした。
彼女は、5キロの米の袋を大事そうに抱えて出てきた。
小さな庭には色々な花。
この花の名前を「葉菜」のスタッフから聞いたはずなのに忘れたらしい。
「なんだったかなぁ?」
彼女は野草と花の図鑑をバッグに入れていた。
助手席で引っ張り出し、庭で見た花々のことを調べ出した。
盛岡の街の近くに戻ってきたのに、まだ、夢中。
その人の家の前に着いても、調べていた。
「ありがとう」と言って車を降りた。
なんてことのない一日が暮れていく。
まあ、悪くはないか青空色の「ブルージーンズ」
家に帰ると丁寧にたたんで、取り出しやすい場所に入れた。