<音楽が出ます、音量に注意>
朝昼晩と頑張る忙しい毎日から、少しずつ解放されてきた
すると「自由時間」という鏡に、映りだす自分の姿
なんだか眠れない夜
それは、うとうとの後に襲ってくる。
寝返りを打つほどに意識がはっきりとして、
奥底に潜んでいた、いつかの「ちっぽけなはずだった嫌な想い」が蘇る。
妄想も手伝い蒼く燃え上がる。
瞼を開けてリアルの世界に戻る。
起き上がり、冷蔵庫を開ける。
Milkを飲んで一服。
溜息一つ二つ、PCを開けたり、本を開いたり。
そんなこんなで窓の外が白んで鳥の声が聞こえだす。
ふわふわした頭で、考える二つ。
一つは、夜明け前から散歩して神子田の朝市に行き、早朝ご飯を食べて戻り昼過ぎまでぐっすり。
もう一つは、少し眠り、昼前に出かける。
いつもの二択。
夜明け前からの散歩は、未だ未体験。
ゆるゆるの瞼に行きたい場所を思い浮かべて眠る。
9時過ぎには起きて、悪い目覚めながらも「あそこへ行きたい」想いが身体を起こす。
また、行きたいと想った林の中の「パン工房『麦の粒』」
岩手山麓の春子谷地の別荘地にある。
その辺りからの岩手山は、見ごたえ十分。
道路から春子谷地には一旦下る地形。
だから岩手山の裾野が他所で見るより一気に山頂へと立ち上がる。
春子谷地には、国道46号線から小岩井農場を突っ切る道を進む。
途中から右折して岩手山の麓近くを迂回する様にして。
遠回りで景色を楽しむ贅沢。
道の向こうは、春子谷地に向かってかなり深く下る。
初めて来た時、
別荘地とかけ離れたちよっとさびれた空気にたじろいだ。
「こんなところにパン屋さん」と想うのが普通だろう。
今は、滝沢の「ビックルーフ」の産直でも買える。
以前、冬は店仕舞いだったがビックルーフでは通年。
でも、やはりここで買いたい。
店主は、独学でパンを勉強したと聞いた。
両親が関東から住み着き、有機栽培で野菜を作っていた。
岩手に度々来るうちに住み着いた。
薫り高く、しっかりと重めの美味しいパンだと想っている。
林の中のパン工房「麦の粒」
今日も買い込んだ。
なんか入り口の旗や来る途中でも無かった場所に小さな看板を見た。
今までとは違い、ちょっと積極的。
姿も少しパン職人らしくなって見えた。
いつか、ちよっとだけその訳を探りたい。
「心も身体も元気になる天然酵母のパン」と言う人も。
<その辺りから下に見える春子谷地の伝説>
何かで読んだのか誰かに聞いたかは定かではない。
記憶にあるのは、
昔々、確か鞍掛山に炭焼きで暮らしを立てていた夫婦がいた。
とても美しい娘がいて「春子」という。
年の頃になり、真夜中に出かけた春子が、ずぶ濡れで帰って来た。
親に問いただされても答えない。
岩手山の麓にある沼の主と恋に堕ち、冬の嵐の中、誘われるがままついて行く。
春子は戻らなかった。
北国らしい伝説。
帰りは、岩手県立大の方に向かう。
盛岡の街~小岩井~岩手山麓~春子谷地~ビックルーフから盛岡の街に戻る。
食いしん爺の岩手山を見ながらの2時間と少しのドライブ。
その途中も楽しいが、それはいつか。
麦の粒のパンは、あっという間に無くなる。
きっと今夜は深く眠れるに違いない。