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盛岡市岩山の展望台の半地下の喫茶「GEN・KI」の帰り、

陽が落ちるまで岩山を散策して歩いた。

 

 

近頃天候が不順で、十日ほど前は、突然濃い霧に包まれたことも。

 

 

去年の秋に撮影した時は、街が霞んでいたものの、綺麗に見渡せた。

あの頃は、そんな日が多かったと想う。

 

 

 

今日は、5月20日(日) 快晴

珈琲を飲んでマスターのこの店での目標を聞いていた。

桑の葉を使って、色々なメニューに挑戦してみたい、

「この景色を見て、身体に良い物を食べてGENKIになって欲しい」

と真剣な眼差し。

 

 

 

マスターの話しを聞いて、元気をもらって店を出た。

岩山の辺りを散策していると陽が落ちてきた。

 

 

 

刻々と変わる蒼とオレンジのグラテーションに見とれる

もう山の稜線だけ。

風は冷たくなり、車の窓を閉めて、エンジンをかけた。

道路を流れる車のライトが見えてきた。

次々と続く光。

 

 

3月上旬のある夜

交通量の多い、片側2車線の外側を走っていた。

国道との大きな交差点に近づき減速しだした時、見えた塊。

右の追い越し車線の真ん中に横たわる猫だ。

丸くうずくまり、顔は見えない。

 

信号待ち。

「もう死んでいた、いや、まだ息をしているかもしれない」

もやもやした気持ちで少し走ったが引き返した。

 

この辺りだ。

できるだけ、ゆっくり走る。

車のライトに映し出された薄茶の猫が見えた。

停まろかどうか、迷っていると

後続の車からパッシング。

溜息とともに、アクセルを踏み込んだ。

 

交差点を過ぎた時には、戻る気持ちも萎えていた。

駐車場で、シートにもたれながら、「もし小さな命が呼吸していたら・・・」

何も、しない不甲斐なさ。

フロントガラス越しの街灯が、無数の光線を放って見えた。

 

北陸で、猫と暮らす人の話を思い出した。

出会いは路上の上。

ひどい怪我をして、息も絶え絶えだった猫を迷うことなく病院へ。

ひと月ほどで回復。

しかし、目と耳が、片方だけ。

月に一度、精密な検査をしているが、いつ何が起きるか分からないらしい。

覚悟はしているそうだ。

その黒猫は、今も楽しく暮らしいている。

 

翌日は、休日で朝夕のラッシュはない。

せめて、見届けようと出かけたが、

幻を見たかの様に、早朝のアスファルトには何の痕跡も無く、

空はその日も、どこまでも蒼かった。

 

 

しばらく誰にも話す気になれなかったが、

2週間ほど過ぎて、猫好きのブロ友さんに思い切って伝えた。

「誰かが助けてくれて、きっと、どこかで生きている。そう思いましょう」

優しい返事に救われた。

450グラムだった猫君と暮らし始めてから、折に触れ「命」を想う。

 

人は、食物連鎖の頂点にいる。

しょっちゅう焼肉を食べに行くが、あの日以来、感謝の想いだけは忘れない。

生きていくとは「命」をいただくこと。

 

 

 

ただいま!

帰ったよ。

留守番ありがとう、さあ、遊ぼうか。

あれ、眠っている(笑)

 

 

 

心に引っかかっていた事もしだいに鮮明さが薄れていく。

そんなものなのだと、夕焼けを見て想った。

「GEN・KI」のマスターから元気をもらったせいもあるのだろう。

桑の葉のメニューを楽しみにしていよう。