<音楽が出ます。音量に注意>

 

 

<5月10日木曜日 3時頃、小雨が上がる>

久し振りに、盛岡八幡宮にお詣り散歩。

盛岡の春る風物詩になった修学旅行生が来ていた。

 

 

 

彼らは、盛岡八幡宮の奥深く歩き回る。

本殿にお詣りしてから、釣られるように散策。

 

 

中ほどが消えているが、三つ打ってから拝めばいいと分かった。

何度も来ているが初めての木槌。

雨が上がりの境内の森に、響く、コン、コーン、コーン。

色々な神様に、お詣りを報告。

 

 

 

お稲荷さんの脇を固める白狐は、こちらの願いを見透かしているようだ。

 

 

気をつけて巡ると初めてのことに出逢う。

 

 

盛岡八幡宮には、暮らしに係るたいていのことをお詣りできる。

健康、家内安全は勿論のこと子宝、学問、芸事、庖丁塚などまで。

 

 

地元の子か修学旅行生なのかは分からなかったが、妙に懐かしい光景だと想った。

 

 

 

<境内にある愛名亭「茶欧(ちゃお)」で一息>

「カフェカプチーノ」

エスプレッソにクリームを載せ、シナモンで香りを。

 

中学3年生の頃。

その町に不動の滝があり、桜咲く頃、お祭りがあった。

友達に誘われ、自転車で向かった。

細く、長く曲がりくねった坂道を登る。

着くと屋台が並んで賑やかだった。

中学2年の桜が終わってからの転校生だったので、翌年、初めての不動の滝。

その流れ落ちる迫力に驚いた。

同級の女の子達もあちこちで見かけた。

学校とは違い、みんな身振り手振りも賑やかで見るからに楽しそう。

 

狭い参道で、数人のグループとすれ違った。

グループ同士、ひと言かけあう。

その中に、一人、冷たい視線を斜めに向けたまますれ違った背の高い女の子がいた。

一瞬、脚を止めたいと想っても、身体は、ギクシャクして歩みは止まらない。

 

その一週間ほど前のことだった。

先生に頼まれ、たしか何種類かの単元ごとの簡易的なテストの仕訳を頼まれ、

窓の傍の棚に並べて整理していると後ろから皆が覗く。

自分の背中に、そっと触れる両手と囁きを感じて、手が棒のようになっていた。

さらに押されて、自分も少し前のめりになった。

肩と背中にもたれるようになったタイミングで、

皆に「触るな」と言った。

すると、背中からさっと感触が消えた。

その事態に、声が出ない。

心は叫ぶ!

「違うよ、この紙に触るなってことなんだ!」

 

それから、その子は、

廊下や下校途中にすれ違っても、冷たい視線を斜めにして過ぎて行った。

卒業式までに、説明しようと誓ったものの、とうとう話せなかった。

 

 

 

<ほろ苦いエスプレッソとふわりとしたクリーム、そしてシナモンの香り>

 

彼女は、どういう人生を歩んでいるのだろう。

あのちょっとした事件は、もう記憶にないのかもしれないが、

傷つけた方の胸には残るものなのだろう。

 

今だったら、すぐ振り向いて「違うよ」と説明するに違いない。

それは「大人になった」ということなのだろうか。