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盛岡、肴町アーケード
「ホットライン」長さ365メートルの
七夕飾りは、
真夏の風物詩
毎年、一度は歩く。
昔は、一関や仙台でもよく見た。
近年は、肴町。
七夕を歩くほどに、
蘇る懐かしい夏の想い出
子供の頃、
一関の大町の七夕は、おお賑わい。
ふわふわ頬を撫でる吹き流し。
前を向いたまま、素知らぬ顔で、一枚、
ピッと引く。
揺れて路に落ちた細長い水色。
母に見つかり、叱られた。
毎年、
叱られた想い出と歩き始める。
今なら、
飾る一枚に込められた商店街などスタッフの
心意気と苦労を知っている。
昔々、
なぜ、「ピッ」と一枚抜いたのだろう?
想えば、
華やかさへの嫉妬?
前の日、母に叱られ、納得できない八つ当たり?
「ちよっと悪る」への憧れ?
ん~、違うなあ。
でも、どんな顔だったのかは、はっきり分かる。
子供心は、意外に複雑で、
渦巻く想いを自分では、とうてい抑えられない。
それが、子供。
長い時間をかけて、色々なことを知りながら
心も身体も大きくなっていく。
ホットラインの南の出入り口まで行くと
見覚えのある顔や元気な声が聞こえる。
タコ焼きを焼いたり、忙しそうだ。
疲れているだろうが、
みんなの眼は輝いていた。
北の出入り口に戻り出す。
小学1年生。
磐井川の堤防で遠足。
一人、野芝に座り、
「友達にあげなさいね」と母に持たされた
食べ切れないバナナを、
川に向かって投げた。
出来るだけ遠くへ。
先生が、凄い形相で駆け寄ってきた。
「言われることは、分かっている」
と思っていた、その時の自分の顔が見える。
あの堤防も、改修されるらしい。
そう言えば、断捨離で出てきた懐かしい手紙。
白い便箋いっぱいに、
吉田拓郎の「夏休み」の歌詞が、三番まで。
次のページは、
「一人暮らしの千葉君でも出来る簡単料理」
のレシピ。
最後のページは、近況と愚痴。
結びは、
「千葉君は、わたしのゴミ箱、何でも書ける」
想い出は胸いっぱいだが、
胃は空腹を訴える。
アーケードを足早に戻り、北の入口の交差点を渡る。
向かいのビルの地下に降り、真っ赤な暖簾を潜った。
「えぞっこ」
今夜は、食欲バッチリ
プリっとしたレバーとシャキシャキのモヤシ。
これを食べると、
身体が喜ぶ。
今年の七夕も終わり、お盆も、そして夏休みも終わり、
想い出も何処かに隠れてしまった。