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5月のゴールデンウイークも終わり、
下旬ともなれば、
人混みも和らぐ。
盛岡の街から30分も走れば、自然の懐の中。
これが、盛岡のいいところ。
ゆっくり、
春らしいスィーツと美味しい珈琲。
そして、風と光。
雫石、岩手山を望む「風光舎」
途中、
菜の花畑、曇り空でも眩い
パステルカラーのイエローの絨毯をバックに、
真赤なトラクターが、逞しく動き回る。
「なんか、カッコイイね」
時々、グレーダー、ブルドーザーなどを好きな女性がいる。
この人も、その一人。
寒い冬の雪と闘う山吹色の重機を見ていると飽きないらしい。
タンポポの綿毛、
飛び立つ時、精一杯空に伸びるという。
自然って凄い。
綿毛は、ひとたびの風で、
広い大地の何処までも舞い上がる。
風光舎を囲む林。
若葉は、日毎に勢いを増す。
あっという間に、緑は濃くなり、樹々の隙間を埋め尽くすだろう。
唐松林と山吹に囲まれた「風光舎」の入口
食いしん爺の育った一関の家は、
住宅地の外れで裏山は公園で、
山吹の黄色に覆われると春真っ盛り。
桜の黒い枝に白い雪の輪郭
青い空と桜
山吹
日陰の斜面に薄紫のスミレ
玄関の傍にマーガレット、真夏に咲いた百合に絡まるアゲハ
秋桜に停まりたい赤とんぼ
季節を色で感じて育った。
今の暮らしは、アスファルトとコンクリートの世界。
時々、自然に囲まれたいと身体の奥からの叫び。
そうそう、裏山に、こんな風に咲いていた
「ん?」
窓辺に、カッコイイ双眼鏡が何気に置いてある。
「双眼鏡がある!」
先程、トラクターに感激していた人は、
今度はバードウオッチング。
「わあ~、遠い景色が、すぐそこ!」
感激屋さんといると、こっちの心も弾んでばかり。
新緑を見ながらの珈琲。
美味しい珈琲、今日は深煎り。
想い出とワクワクまでついた贅沢な時間。
穏やかな味、最後の一滴まで楽しませてくれる。
クルミたっぷり。
珈琲焙煎は、中深煎りもある。
初めて知った。
深煎りと中煎りの間らしい。勿論、浅煎りも。
「この店は、いつから、でしたっけ」
と聞いた。
「成田から夫婦で、やって来て9年目になります」
銘店「カフェ・バッハ」で修業を積んだそうだ。
なるほど、きめ細かな焙煎。
「ここを選んだ決め手は、なんですか?」
「岩手山の見える風景です。盛岡の街にも25分ほどですから」
夢を叶えた二人は、
日々変わる風景を見ながら、
幸せそうだ。
好きな事をして暮らす、それも夫婦で。
それだって、中々手に入らない、とても羨ましい贅沢。
「ねぇ、あたしは、何かあなたの役に立っているの?」
ふいに、風、一筋。
「どうせ生きるなら、人の役に立つ人間になりたいの」
この油断のならない唐突さに、やられる。
カラマツ林で、風を感じ、光を浴び鳥たちを見る。
美味しい珈琲とほっとする風景は、人を素直にする。
真っすぐな人は、いよいよ視線が透き通る。
逢う度、貴方に色々と教えられてます。
大きな瞳に映る自分の姿に偽りがあるかどうか、
覗くと答えがあるのです。
贅沢は、意外に、すぐ隣にあったりする。
それを見つけるって、
意外と難しい。
一緒にいる事の意味、
そして、
美味しい珈琲には、新緑の唐松入り。