<音楽が出ます、音量に注意>
「時が全てを穏やかにしてくれる」
と、
誰かが言っていた。
そうもいかない事だって・・・ある。
破り捨てたつもりの想い出は、小さな欠片のまま、
色褪せない。
山頂の辺りを覆い尽くす、一面のつつじは、暮れかけの空を
染めてしまいそうな勢い。
「なんだか、怖い」
と君は、あまりの迫力に、
ギュッと僕の腕にすがった。
3 年の時を経た・・・風景の記憶
輪郭は、ぼやけ
暮れかけた空と
山頂一面の濃いピンクだけが
少し不気味に
残る
山から望む空と海
遠いはずが、真下に見えた
海に気がつくと君は
指差しながら、2、3歩、前に出た
心の断捨離には終わりがない
だったら
いっそのこと想い出の場所を
訪ねてみよう
徹して、想い出せばいいじゃないか
せいぜい、血が滲むぐらいだ
立ち止まり、振り返っても
記憶は、それぞれ都合よく誇張され
彩度も変わる
だったら、自分色に染めてしまい見飽きるまで
心のトップページに飾ろうか
もう、今、2人の絵は別々の風景
相似ではないだろう
あるいは、黒く塗りつぶされて
進歩する科学に人の情緒が置き去り
携帯を変えに行って気がつく
画像が残っていた
始末に負えないのが動画
誤魔化しようもなく、くっきりと再現される
部屋で、覚悟を決めて
再生
懐かしく、愛おしい
見ているうちに渦巻く感情
残ったのは嫌悪感
残しておいて
笑える時が来るのだろうか
7月の同級会に出た
本当に久し振り
皆の顔は、輪郭が違う
その中で見つけた懐かしい顔
「一緒にボートに乗ったよなあ~」
「そうだったかしら?」
と前めりになるほど笑いながら
僕の腕を叩く
「断捨離したら、何と、出て来たんだよ手紙」
また、テーブルにつんのめる様にして笑う
今度は、強く腕を叩く
「もう! 早く捨てなさい」
微笑みにつられて
出てきた、えくぼ
視ていた
「なに?」
もし動画を残しておけば
いつか
二人で笑える時は来るだろうか?
と想いながら
消去の文字に
指を
かざした
もうすぐ、光の速さで闇に消える

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