ゴールデンウイークも終わった5月のある朝、

どうにも起きたくない北国の春。

自分の体温で、温もる朝の毛布は、

心地良い。

 

昼過ぎ、

ようやく着替えて歯磨き、5才は老けてる鏡の顔。

断捨離中の家、

廊下から外の階段までゴミ袋、本の山。

こんな日は気分を変えに美味しい珈琲を

飲みに行こう。

 

「久し振りです」

カウンターに座る。

「お疲れモードですか?」

マスターには、すぐバレた。

「顔に出てる?」

「はい」

珈琲の香りに包まれ、

少し身も心も軽くなる。

『いなだマジック』

 

そんな風に始まる「いなだ珈琲舎」 盛岡劇場向かい

 

 

良く蒸らすには、お湯は真ん中から

といつか話していた。

豆の選別、珈琲を淹れる男の仕事顔。

信念、追求、情熱と色んなものが、

珈琲の香りと一緒に滴り落ちる。

 

 

近頃、爺は、マンデリンの男

 

 

つやつやのチーズケーキ。

濃厚なのに不思議とあっさり、SALT味が効いて、喉越しもいい。

 

 

 

珈琲に合うものをいつも考えている。

近頃始めた贅沢フルーツケーキ。

木の実、ドライフルーツがびっしり、そしてマスターの

想い、心意気が目いっぱい。

美味しい。

 

 

2年が過ぎ、「いなだ珈琲舎」は、

あちこちで知られる店になり、

色々な人が顔を出す。

ドアを開けるのも楽しみ。

 

ある日、

興味を持ち始めていたホームスパンに

没頭している人との出会い。

一度、作っているところを見たかった。

NHK「美の壺」、知る限りでは、

盛岡の物が2つ、

「ホームスパン」と「南部鉄器」

地元が育む文化に改めて触れてみたいと思っていた。

「創る人」から貰う刺激。

出かけたり、何かを始めてみたくなったり。

 

逆に、断捨離をしていると、

必要で買ったはずの物だが使わない、一度も着ない。

結局、古い物を使ったり、着たり。

どんどん捨てた若い頃とは違い、ゴミ袋の入口で迷う。

古い靴一つからでも蘇る想い出。

続けるうちに自分の内側が浮き彫りになってきた。

「悩んだら捨てる」と皆は言う。

でも、新しい事にときめいたり、懐かしさに迷ったり。

生きていくって、そんなもの。

ためらいなく捨てても、冷たい床が広くなるだけ。

 

「いなだ珈琲舎」のcoffeeは、

断捨離の結果の味だと思う。

すっきりとして、美味しい。

たぶん、この味になるまで色々な事があったのだろう。

 

さて、今にも出かけてみたいが、長引く断捨離を

終わらせ、ゆっくり旅に出る事にしよう。

 

 

 

 

 

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