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時々、
無性に、食べたくなる。
グラタン。
懐かしい人に逢いたくて仕方ない様な感じ。
ちょっと違うかな。(笑)
理由なんてない。
でも、近頃は、食べれる店が少ない。
3月の半ば、
まだ寒い中、
卒業式シーズン。
いいね。
未来に向かって頑張れ!
とエール、
勿論、声には出しません。
そんな卒業シーズン、盛岡の中津川の東、
古い町並みの肴町ホットラインを南の方から歩いた。
アーケード街の長さは365メートル、
80店ぐらいが並び、
日々の暮らし用品は何でも揃う。
その北の入り口辺りにカフェがある。
昔は、3階まで上がった様な記憶。今は、2階まで。
創業から60年以上の盛岡の老舗喫茶店。
「たしか、グラタンがあったはず、今もあるかな?」
久し振りに入ってみよう。
建て替えてからでも35年になるだそうだ。
あった!
グラタン。
セットでトーストも。
なんだか御機嫌に。
誰にも邪魔されず、
一人時間。
美味しい。
不気味にほくそ笑む食いしん爺。
「でも、なんで好きなんだろう?」
グラタンを母に作ってもらった記憶は無いし、
自分の恋物語にも登場しない。(笑)
バターの溶けた匂いに、昔のモーニングセットを想い出す。
久々にゆっくり。
古い記憶が滲み出て、
しだいに輪郭が、はっきりして、
脈絡の無い連鎖が始まる。
東京の新宿、昔の南口から少し歩いてライフという喫茶店があった。
よく待ち合わせに使った。
昔、携帯は無い。
アパートを訪ねる仲じゃない限り、殆ど駅や喫茶店で待合せ。
駅の傍は、めっぽう混んでいたから、
ちょっと離れた方が安心。
待合せた人達の顔が浮かぶ。
昔は、何かが起き、遅れても連絡ができない。
店に電話をかけるしかない。
渋谷ハチ公前でも待ち続ける人をよく見かけた。
5、6人で待合せると誰かが遅れる。
小さな輪の中で、暇に任せて辺りを観察したもの。
30分を過ぎて落ち着かない人、
片手に持った本に夢中の人など様々、
だから、珈琲を飲んでのんびり待つ喫茶店。
アーケードを通る人を眺める。
ゆっくり歩く人、
先を急ぐ人、
店先で立ち止まる人
半世紀前の窓の外には、何が見えたのか?
そろそろ行かなくては。
グラタン好きの理由は、謎のまま。
喫茶店で60年の歴史は、凄い事。
それでも、まだ「未完成」