今日は、「車門」でランチ。
ドアを開けると、チリンと鳴く。
一人の時は、たいてい一階。今日は、階段を上がる。
その人とのランチ・デートは、2階と決めている。
いつも、階段を見おろせるテーブルに座る。
盛岡、中津川から八幡宮への一直線の道は、肴町ホットラインと交差する。
交差してすぐ、蔵がある。
その蔵の中は、老舗の茶廊「車門」
チリンと鳴り、下に見えたら、
煙草を消す。
来た。
軽やかに登って来る。
腰を落としながら、
「こんにちは、元気そうですね」
こっちを見てキュートな微笑み。
今、彼女は忙しいセクション。
「もう、疲れ果ててます」
そういう割には元気そう。
自由な時間が殆どないとこぼす。
2人で、ハヤシビーフライスを食べながら話は弾む
食いしん爺は深煎りの珈琲、
彼女は、浅煎り。
先にオーダーしてある。
深みのあるハヤシソースをオムライスに混ぜ、
美味しく食べながらの近況報告。
でも、楽しき時間は、倍速、
「あら。もうこんな時間」
が、幕引き。
その、ほぼ170センチの女性と肩並べて、
「茶廊 車門」を出る。
いつもの様に右と左に別れる。
大柄な彼女は、
小さく手を振り、歩いて行く。
アルコールが強そうに見える彼女は、
いくら吞んでもしっかり歩く。
一度だけ、
少よろけてしまうほど呑み、心を露わにした。
酔った眼は、焦点がぼやけ、
半開きの唇に妖しい光が見え隠れ・・・
翌日、
激しい頭痛に彼女の記憶は砕け散り、残ったのは、所々の欠片。
それでいい。
「呑み過ぎました。ごめんなさい、以後気をつけます」
とメール。
湧き出た本音は、その時の想い。
しっかり蓋をして何処かに埋めよう。
時が過ぎれば、人と人の関わり方も変わっていく。
そんなもの。
逢う単位は、月から季節ごとになり、年になる。
少し、不安げに登って来た階段も、
今では、ちょっとしたオーラを纏い登って来る。
う~ん、
嬉しくもあり、淋しくも。