<音楽が出ます。音量に注意>
澄み切った空気、遠くまでくっきり。
風は冷たいが青い空が顔を出すと頬がほんのり温かい。
雫石と言えば小岩井農場、そして網張。久し振りに走る。
夕方近くになって細かい雪が降り出した。
御所湖の繋大橋を渡る。
橋を行くと目の前に「繋温泉」が拡がる。ここは、盛岡市。
街から近いのに、ここは別世界。
段々と暮れていく。
車の温度計は-3度。
考えてみれば、自然とは凄い。
5月には、御所湖の対岸から北に向かって菜の花が咲く。
どこまでも続く、黄色の絨毯。
車の温度は、四季を通じて24度設定だが、夏は涼しく、冬は暖かく感じる。
人の体感の変化も凄い。
でも、今は、白と黒の世界。
四季とは素晴らしい自然の魔力。季節ごと心も揺れる。
温もりを求めて雫石の鶯宿温泉へ
偕楽苑に寄った。
ゆっくり、露天風呂で温まる。
しばらく、ほかほか。温泉は、爺の大好物。
枝の黒をなぞる白い雪。
雫石の御明神の郵便局のすぐ先に向かった。
小さなコンテナハウスの窓から、オレンジの灯りが漏れている。
オーロラcoffee。
マスターが迎える。
珈琲の話を聞く。
彼の話には、酸味とフルーティーという言葉が゜よく出てる。初めて来た時、酸味という言葉に抵抗があったが、珈琲と一緒にとても美味しく飲み込んでしまった。
小さくても狭くても、落ち着く処。
まずは、おやつから。美味しくて珈琲によく合う。
ブルベリーのタルト、食器は、フィンランドのアラビア、パラティッシュ。
今日は、ここで一番高い「ゲイシャ」を頼んだ。
中央アメリカのエル・インヘルトの農場では「セントラルアメリカン・ヤングゲイシャ」と呼ばれ、渓谷沿いの急斜面で栽培されたもので、国際オークションで落札された極めて流通の少ないものだそうだ。
「珈琲の宝石と呼ばれています」と嬉しそうに話す。これは、飲まなくては。
飲んだことのない香りと味。
フルーティと言えばそうで、紅茶の風味も感じたりと言葉にしがたい不思議な珈琲。
とにかく美味しい。
<スペシャリティ珈琲 ゲイシャ>
オーロラの名前は、さして考えず、「北欧が好きで、カップも音楽も北欧のものが好きで、北欧をイメージしやすいのがオーロラじゃないかと思いまして」
珈琲の味も「オーロラ」飲むほどに変わる。
美味しいと告げると、マスターの微笑みが返る。
きっとこれからも、珈琲に没頭していくのだろう。果たして、彼の味は、何処に向かうのだろう。
ある珈琲の店主が話していた。
「色々な事を試しに試して結果的に無駄をなくしました。」
沢山の好きな喫茶店があり、それぞれの店主にもコクがある。
淹れたての珈琲の味の優劣は爺には、つけがたい。音楽と同じで人の好みだろう。
とっぷり暮れた帰り道、ある人の言葉が蘇る。
「やろうと思えば、小さなコンテナハウスからでも、始めれるってことよね」