東京でも、まだ11月なのに雪が積もった。
盛岡の朝晩は真冬並みに冷気が突き刺す。寒い。
今年は夏の暑さが長引き、10月中頃から一気に寒くなった。そのせいか、紅葉の特に黄は綺麗だったが、あまりに短い秋だった。
そんな時に限って20年近い付き合いのストーブがいきなり異常な音をたてた。先代からお願いしている電気屋さんに連絡。早々に手配して貰った。30年以上の付き合い。
寒いが続くと郷土料理の「ひっつみ」を食べたくなる。食いしん爺の冬の恒例行事。盛岡駅のフェザンの地下の飲食街にある「ひっつみ庵」に行った。この店は、現在、営業していないが料亭が本店だった。2店舗あり、盛岡駅の外に仙台駅にもある。
「ひっつみ」を食べながら、「すいとん」との違いは、なんだ?」という話になった。
すいとんとは、小麦粉をこねて作った生地を手でちぎって鍋に入れる。それぞれの風土によって出汁や具が違う。室町時代にまで遡るらしいが、江戸時代に小麦粉で手で契る形になった様だ。とにかく古い料理だ。専門の屋台などで繁盛した時代もある。
関東大震災後や太平洋戦争の食糧難の時に大豆やトウモロコシなどを使って作られた。水団と書けば何となく名前の由来が分かる。
一方、ひっつみは、薄く延ばしてツルリとした食感。食いしん爺の出身は、岩手の旧伊達藩の県南で、「つめり」ともいうらしいが、どうだったかなぁ?
「ひっつみ庵」のひっつみは、薄くツルリとして実に美味しい。
食事は、「始めに野菜。そしてゆっくり食べるの!」と誰かの声が頭をよぎる。たっぷりの野菜サラダから食べる血糖値対策。
見て分かるとおり、薄くてツルツル。腰の強いワンタンみたいだ。
母や県南の親戚で出されたものは、もっと厚くて噛んで食べる感じだったと思う。子供の頃には、塊から次々とちぎって鍋に投げ入れるのを見ていたものだ。
醤油味で色々な具が入っていた。
中学生の頃には、ひっつみでは、どうもご飯がすすまなかった。この店では稲荷寿司とのセットがあって食いしん爺は、これが好きだ。
勿論、肉系も花巻の白金豚のソーセージ。
一緒に行った人は、はらこ飯と卵麺のセットを食べた。卵麺は奥州市の名物。極細で腰のある麺だ。
一緒に来た人は、ひっつみをちよっと味見して、はらこ飯を美味しそうに食べていた。食いしん爺は、塩系より、どっぷりと醤油に酒を足した汁に付け込んだ物が好物だ。これも風土によっても違のだろう。
結局、「すいとん」と「ひっつみ」は、もとは同じだろうということで食べ終えた。また、来年の冬の始まりに話題となるだろう。その時までに名前の由来も調べておこう。水団は、それぞれの風土の味に形になり、名前になって脈々と続いてきた。
ひっつまんで投げ入れるから「ひっつみ」「とってなげ」「つめり」など岩手での名前は、料理の動作そのもの。それだけ日常的だったのだろう。
ある程度人生を重ねて来ると、長い間に色々なものを食べて生きてきたわけだ。だから、久し振りに食べて懐かしく想い、ちょっとした物語もあったりする。そして作っている人の姿が蘇り想い出は、その頃の日常に繋がって行く。
いい大人になって「食いしん坊」の頃を思い出す。だから「食いしん爺」
勿論、まだ、食べたか事のないものも探すことも忘れない。