喜作のママの笑顔の出迎えにほっこり
365メートルのアーケード、ホットライン肴町。そこに吊るされた力作揃いのフラッグアート展をゆっくり見て歩いた。南の出入り口近くのベンチで一休み。時折入り込んでくる風は冷たく、身震い。
「そういえば盛岡の三大麺の一つ、じゃじゃ麺を久しく食べていない。ここ、「肴町」「喜作」と連想した。すでに1時半過ぎている。すきっ腹に気づいてアーケードを「喜作」に向かった。
「あらっ!お久し振り!」ママの笑顔に心、温もる。昼は初めてかもしれない。奥のカウンターに案内され、「じゃじゃ麺」の普通盛りを頼んだ。ここでの毎夜の一杯が生活の一部になっている人の近況を聞くうちに麺が茹で上がる。
早速、食べる。久し振りの盛岡の味。美味しい。
初めて食べた「じゃじゃ麺」には、少し抵抗があったが、2度、3度食べるうちに捕まった。
じゃじゃ麺には、卵がつきもの。
いい卵だ。以前は、薄く青い珍しい卵だった。とにかくプリンとした卵。
これを、よくかき混ぜる。
そして、皿を手渡し、お湯を注いでもらう。今度は、優しく箸で円を描く。
お好みの量の特製のみそを入れ混ぜる。チータンという美味しいスープの出来上がり。
ママとお客の話し
黙々と食べていると、背中にママと客の話声。
特盛を頼んだつもりが、大盛が出てきた。お客さんの方が間違えたのだが、どうしてもLLが食べたいらしい。結局、追加で茹でることになった。その人の食欲に驚いていると、次の話が、お孫さんのことになった。
「孫がね、鹿踊(ししおどり)を始めたのさ。まだ、子供なんだが、やたらと好きで、先月、人前で踊ったんだよ。」
それを聞いた途端、爺は、反射的に振り向くと、尋ねた。
「あの、ひょっとして花巻祭りに出てませんでした?」すると、
「あ~、そうそう、初日の篝火の中の群舞に出たんだよ。あの篝火がいいんだなあ~」
爺は、その場に居たのだ。ひと際小さな踊り手を間近で見て感激したことを告げた。
この写メを見せた途端、お爺さんは勿論、ママ達も大盛り上がり。
お爺さんの3Lに煽られたわけではないが、今日は「一人めんサミット」。 まだ未体験の「赤じゃじゃ」の辛さを聞いたら、そんなに辛くなくファンも多いとのこと。赤の「小」にした。
ところで「めんサミット」というのは、来月、麺の街、盛岡で三大麺(わんこ蕎麦、盛岡冷麺・じゃじゃ麺)を中心にしたイベントで、かれこれ二十年振りぐらいに開かれる。
キッチンバスで岩泉にも
ママが、喜作の「キッチンバス」で災害に襲われた岩泉に行って来た話しを始めた。
「お年寄りが多いだろうし、ちょっとヘビーかな? 少し不安だったのよ。それがね、じゃじゃ麺は、北上の国体の開会式でも、食べ方を聞かれて教えるでしょ、だからね、自然に会話が弾むのよ。」
確かに、麺と味噌をよくかき混ぜ、食べた後は卵を割って皿に入れて混ぜる。お湯を注いでもらい、味噌を適量入れると〆のチータンという卵とじ風のスープとなる。客の方が忙しい。(笑)
避難生活の人達にも喜ばれたと嬉しそうに話していると、メール便が届いた。丁度、今の話しが岩泉の広報に載り、役場が送ってくれたのだ。
引寄せの場ってあるね~
広報誌を読みながら、「赤じゃじゃ」を待っていた。すると、「こんにちは」
「めんサミット」のチラシを持って事務局の中心人物が登場。食いしん爺言葉を交わす。「一人めんサミット開催中」とは言わなかった。(笑) 先日、この方の店で十年振りにはなる「わんこ蕎麦」を食べたことを思い出した。食いしん爺の記録 111杯!
そろそろ「写メを一枚」と言ったら、何故かめんサミットのチラシを持つ二人。
来月に開催の迫った「めんサミット」麺食いの街、盛岡から全国に麺文化を発信!
美味しかった赤じゃじゃ麺
出逢いの偶然が続いても不思議じゃないのがこの店「喜作」だ。人の輪の波が拡がり、さながら大家族の家みたいだ。 「喜作コミュニティ」
赤が来た! 盛岡食いしん爺は、初体験。
良く混ぜる。想像より辛くない。爺にはちょうどいい。ちょっとラー油を。う~む、美味しい。
「そのうち、夜に来ます。」
「はい。でたぁ~そのうちね~」 ママの笑顔に送られて店を後にする。
心まで満腹。冷たい秋風にも芯からポカポカ。
しかし、知らない人が見たら「何の店?」と思いかねない不思議な入口。(笑)
夜の〆で、爺がよく食べるのは、「あんかけもやしそば」 こっちにすればよかったかな?
優柔不断で後悔ばかりが残る人生だなあ~という時には、喜作の力を借りてネガティブを蹴飛ばそう。
アーケードに出ると、少しだけ踏み出す脚に力がはいる。さて、デラシネ食いしん爺は、これから、どこを流離うのだろう。
それにしても、時々、顔を出したくなる場所だ。
そして、いよいよホットラインでは、ハロウィンが始まる。
また、食いしん爺は、ホットラインを彷徨う?(笑)