この一週間ほど、夏の疲れが出たのか朝が辛い。眠くて仕方ない。
目をこすりながら地元紙、岩手日報を開く。
先日の突然の豪雨もなんのその。岩手の国体は連日、県勢の活躍。
やはり、活躍して欲しい。スポーツは被災地の特に、子供達に夢と希望を与えてくれる。
昼過ぎには、一仕事終え、盛岡劇場前の「いなだ珈琲舎」へ。食いしん爺が待ち遠しいものが登場したという情報がある。
カウンターに座るなり、
「出ました?」
「はい。」
「では、生チョコと今日は、マンデリン。ところで、それを始めたきっかけは、何なの?」
「特に、どうってこともないんですが、珈琲によく合い、自分が作れる物を探してます。それからロスの出ないもの。」
なるほどと思いながら、早速、一個。
噛むと口の中で広がる生チョコ、軽い苦さがとても美味しい。
いなだ珈琲舎の秋を味わう。
「ある著名なシェフが国賓を迎える晩餐会を任されたそうです。その時、最初に調理場の残渣入れの蓋を開けたそうなんです。そして「何故こんなに、使えるものを捨てるのか? 現場のスタッフは、ビックリですよね~」
マスターの話から、職人と呼ばれる人には、仕事のプロセスも使う素材もロスが少ないのだろうなどと話が弾んだ。
今日の二人の勝手な話は、珍しく深煎りの熱い珈琲。しかも、冷めにくい。
だんだん話が濃くなる。テーブル席のお客さんを意識して小声になり、カウンターを挟んで二人の眼が鋭い。
話の中身は長くなるので、また別の機会に。
今日は、濃い話の後なのでマイルドの豆、100グラムを挽いてもうことに。するとテーブルのお客さんからも豆のオーダーが入いる。
サラリーマンのロスは何だろう? 時間だろうという事で落ち着いた。
マスターは、お客さんに丁寧に答えているが、ロスがない。
食いしん爺は、じっくりといなだ珈琲舎の秋、生チョコとマンデリンを味わう。
美味しい時間を充分楽しんで店を出た。まだ、空は明るい。
八幡界隈を歩きながら考える。
マスターと話した断片だが、街は、住む人の息遣いが聞こえてこないとつまらない。暮らす人が溜息をついたり、笑ったりする顔が見えないと魅力が湧いてこない。そして外からの風を感じた時、どう考えるか。やり取りには「face to face」が大切だ。
飲んだり食べたりしながら語り合う時間は、ロスにはならないだろう。
世の中で最もロスがあるものは、何だろうと思った。
恋かな?
もう一人の爺が、腕組みをして背後から、
「恋はね、リスクも伴います。」
と言う。