あるブログを読んでいたら、急に出かけたくなった。
何故? 分からない。
午後2時25分、盛岡発。盛岡インターに向かう途中のイオン、ロードサイドの飲食店やコンビニなどを眺めながら考えていた。
世の中は3連休。3日間休む人と仕事の人の割合は、どうなのだろう。
ホテルや、交通、理容・美容に加え福祉施設など数えきれない。
それは、現代人の生活が大きく変化したということなのか?
まあ、この話は別の機会に。一人だとどうしても色々と思うから好きだ。
さて、東北自動車道に入り、北へ。
高速道路から見える山々の樹々は、今にも降りだしそうな灰色の空のせいもあり、もう黒ずんで見える。
もう、9月下旬だ。「そうだ、嶽きみの季節が終わってしまう。」
行く先を決めた。
青森県に入ったのは4時過ぎ。弘前・大鰐インターで下り、弘前の街を抜ける。両側の林檎も大きく育っている。
山裾に入り長い坂を登りだすと岩木山が徐々に大きくなる。岳温泉を過ぎて少し走ると道沿いに、それと分かる農園のテント小屋が次々と見えてくる。最盛期は20軒ほど並ぶ。
もう夕方で閉めた店や後片付けの店もある。まだお客さんが出入りしている店が数件見えた。間に合った。
今の時期の品種は、「恵味」という。爺の知る限り青森、岩手ではトウモロコシを「きみ」という。(きみの名は? めぐみです)
この岩木山麓の糖度18%以上を誇る「嶽きみ」を一度食べると、その魔力にとりつかれ食べそこなうと1年も悔いが残る。標高400~500mの嶽高原。昼夜の寒暖の差と有機質たっぷりの土で恵味は、甘く育つ。
美味しいうえに、美形のトウモロコシ。
嶽きみを買い込んだ帰り道に岩木山神社にお参り。
神社の歴史は古く坂上田村麻呂のあたりまで遡る様だ。
今の姿は江戸時代に津軽藩が総鎮守として建てたものだ。
石の鳥居をくぐり、次に朱の鳥居。
鬱蒼とした杉木立を一直線に突っ切って紅の楼門があり、屋根の上に山という形に岩木山が見える。
その日は見え隠れしていたがパワースポットの雰囲気充分。
嶽きみ食べて内と外からパワーをいただくとしよう。
この日は、夕方にも関わらず、まだ行き交う人達がいた。
至る所、かなり太い杉が空にそびえている。
浄化のパワーがあるという「白雲大龍神」
寄進の幟が連なっていた。小さな池を渡り、何故か丁寧に祈った。
見事な紅の楼門と濃い緑の調和を眺めているうちに嫌な事が、どこかに消えてしまい心穏やかになる。
次は中門があり、本殿だ。
狛犬と言うより、ライオンの様に見えた。
逆立ちの狛犬。
「下を向いている狛犬と写真を撮ると恋愛運で、上向きだと金運が上がるらしい。」
と近くで話す声が聞こえ、真ん中で爺は迷う。結局、上向きの狛犬に近寄った。
ここから先は閉まっていた。
この先の本殿は、黒漆塗りで中門も色取り取りの彫刻が施されて美しい。
この先から、岩木山の登山道があり、標高1625mの山頂にある「奥の院」まで続く。
石畳を見ると、一つ一つが丸みを帯びて艶がある。今まで多くの人が踏みしめてきた証なのかもしれない。
暮れてきた。確実に陽は短くなっている。ちょっと寂しい。
参道を下りながら振り返ると灯りがともり、自然に祈りたくなる様な光景が眼前に広がっていた。その静寂の中で一礼した。
家に帰った爺は、早速「恵味」をサランラップで包み電子レンジでチンした。
「8分煮てね、それと塩を少し入れてくださいね。」と言われたが、簡単な方法にした。
「茹で」きみ1本と醤油だれで焼いた「焼き」1本を食べたが、とりあえず2本をチンする。
見るからに美味しいそうだ。
初めて食べた人が「砂糖で煮ているのだ。」と思ったほどに甘いのだ。
弘前城の出店で嶽きみの天婦羅を食べ、感激したことを思いだしながら、熱々の嶽きみを立て包丁で削ぎ落として食べてみる。う~む果実の甘さだ。4本目でも美味しい!
思い立ったら待てない食いしん爺だが、天婦羅は明日、考えることにしよう。なにせ今日は、これで4本食べた。
あてもなく走り出したが、頭の中には行きたい場所が「山ほど」あって食べたいものが「海ほど」ある。少しは整理しておいた方が良さそうだ。
「だけきみ」だけに、今夜は、「きみだけ」に、この甘さを届けよう。
失礼しました。(笑)