9月に入っても朝晩も蒸し暑い日が続く。

昼前に一人、車を走らせる。

盛岡の良い所の一つが、30分も走れば森林浴が出来ること。森の中の風は、樹々の間をすり抜けて来た風が柔らかい。深呼吸して心も拡がる。

さて、パンを求めて「麦の粒」に向かう。

春子谷地の道路を挟んで向かい側の森にある「麦の粒」で色々なパンを買った。

入り口を出て立ち止まり、またドアを開けた。珈琲を買った。そして木陰のベンチで食べることに。「うん」我ながらいい思い付きだと自画自賛。

「あの、そこのベンチをお借りします。」

「はい、どうぞ。」

店の傍に、一つだけベンチがあるのだ。いそいそと座ると食いしん爺は、袋からパンを取り出した。食べる準備OK!こんな時は手際いい。

このサンドウィッチ、実に美味しい!

 

 

 

店の傍にあるベンチは、使いたい方は「勝手にどうぞ」という感じで置かれてる。

 

 

車でせいぜい3、40分で手に入いる「森林浴とランチ」という贅沢。

 

 

チキンサンド、これも美味しい。

両親が都会から移り住み、娘は、何度となく訪れているうちに気が付くと岩手山麓に自分も住み着いていたそうだ。親は、有機野菜を作り、娘は美味しいパンを焼く。家族が丹精込めて作った野菜を挟んだサンドウィッチ。

食いしん爺はといえば、木陰のベンチで食べる人。満たされた時間を楽しんでいると、ふっと、子供の頃の事を思い出した。

爺が、小学生の低学年の頃、その日から夏休みという朝。

まだ、寝ぼけながら台所に行くと大きな皿2枚に布巾を被せてある。滅多に食べれない母の手作りサンドウィッチだ。布巾を少しめくる。予想どおりにハム、野菜や卵のサンドウィッチが並んでいる。こっそり、一切れをつまんで口に入れた。頬っぺたを膨らませたまま、人の気配に振り向くと真後ろに母が立っていた。

その朝は、

「こらこら、つまみ食いしては、ダメ。もう少し我慢しなさいね。」

叱られるはずが、なんと女神の様に優しく微笑んでいるではないか。前の日に渡された通信簿が、ことのほか良かったからなのだ。

 

 

黙々と食べていることに気がつき、口をゆっくり動かす。

美味しさと想い出を噛みしめながら、スローモーションで味わう。

 

 

森の木陰でカレーパン。

大きく伸びをしながら珈琲を飲む。ちょっとした幸せ気分だ。

 

 

そばにあった切り株の上に置いてみた。いいね50回。

 

 

テーブルに松葉が落ちていた。カレーパンの松葉添えと珈琲。

見ているだけでも美味しそうだ。

 

 

標高が高く森の中だ。見納めになるだろう、まだ、かろうじて咲くガクアジサイ。

 

 

 

家に帰り、早速パンを広げる。今日も色々、買いました。

 

 

家の中は蒸し暑い! 床の上は、いくらか気持ちいいだろう。「お帰り」と寄って来ないなあ~

 

 

今は、もう何もしたくない、眠い。爺も、その気分がよく分かる。

 

 

「自分だけ木陰で美味し物を食べて満足してきたな! 満たされた顔してるぞ!」

「はい、ごめん」

 

 

お腹を撫でても、起き上がらない。フンとしている。

爺は、後ろめたさを見透かされている様で、気持ちが押され気味。(笑)

 

 

夏でもモフモフの毛皮だもの暑いよね。

お詫びに、エアコンの設定温度をちょっと下げた。いかにも人工的だが涼しい風がルハン君に届く。すると、むっくりと起きてテーブルに上がって来た。

狙いはパンの包みだ。「それは、ダメ。」

その代り、ネズミの親子が連なった君が大好きな玩具で遊ぼう!

おう! 出すと同時に、ジャンプしてきた。

本来なら、森の中で陽射しを避け、涼しくなると五感を研ぎ澄まし、獲物を狙って走る毎日なのだろう。でも、今は爺の日常に欠かせない相棒だ。

さて、君が疲れるまで一緒に遊ぼう。今日は徹底的に付き合うよ。

ルハン君は、当たり前だと言わんばかり。続けざまにジャンプする。