台風は、盛岡の真上を過ぎた。また夏空。今日はザル蕎麦だ。

店の親方が、テレビを指さして言う。

「盛岡は、真上を過ぎたのになんともなかった。岩泉や久慈など大変なことになってる。」

 

テレビでは、台風10号の被害の凄まじさが報道され、行政の責任の話も出ていた。8月30日に観測史上初の三陸直撃。31日になり、朝から大変な災害の様子が分かって行く。

そして9月1日は防災の日。政府は、全閣僚が参集し、南海トラフ巨大地震や首都圏直下型地震を想定し様々な訓練を行った。都内の国道を通行止めにして車両、瓦礫の撤去訓練を実施した。

ところが、その時、北海道、岩泉や久慈などでは、行方不明の方の捜索や孤立した集落で一瞬にして日常を奪われた多くの人が不安な夜を過ごしていた。

爺は、防災訓練を否定するつもりは、全く無く、大賛成だ。

ただ、防災訓練で行った車両、瓦礫の撤去などをその時、被災地で最も必要としていたのではないだろうか。 なんとも、もったいない気がした。

勿論、決められた段取りで行う訓練も大切だ。しかし、いつ、どこで起きても不思議ではない記録的な豪雨で現実に災害が起きた。おそらく全国で沢山のヘリコプターが飛び交ったことだろう。現実に起きた災害への救助、支援に切り替えるという発想は無いものなのか。そういうことが、想定外の対処には、必要なことではないだろうか。 

 

さて、評論家みたいに偉そうなことを言っても腹がすく。

「おまちどうさま!」

目の前に、美味しそうな蕎麦がきた。

 

 

ここの蕎麦が好きだ。美味しい! 

 

でも、自分自身で何が出来るのだろうか?などと漠然と考えていた。

あれ、気がつくと箸が進み半分もない。残りは、いつもの様に味わって食べた。

今日は、いつも少しづつ足しながらの紅葉おろしを一気に入れてしまった。蕎麦湯までが口にピリッときた。

 

「ご馳走様でした。」

「毎度、ありがとうございました!」

 

この蕎麦屋さんの話は、次に。