盛岡の街から岩手山麓に向かった。

涼を求めることと先日行った春子谷地の辺りで見た小さな看板が気になっていた。小岩井の森の中を抜け、岩手山が大きい。日帰り温泉のある所から東に曲がる。国道4号線や東北自動車道の滝沢インターに通じる道に入る。

春子谷地を左に見て小さな別荘地の入口に「ぱん工房 麦の粒」の看板があった。右折して狭い道の坂を登り、曲がってすぐにそれらしい建物がある。

入口が木製のドアで中が見えない。本当にここだろうか?と食いしん爺じゃなくても思うだろう。しかも木のドアは小さいのにやたら重い。

ドアを開けるとガラスのケースに賑やかにパンが並んでいた。すぐに歩み寄り、ケースの前に身を屈めた。盛岡食いしん爺の直感。

「これは、美味しそうだ。」

 

 

地元の小麦と天然酵母。

 

 

 

さほど、パン好きではない。でも、美味しそうな物には眼が無い!

色々と買い込んだ。殆ど店のオーナーとの会話は、無い。

 

その日は沢山、あちこち小岩井周辺を周って帰った。

早速、遅いランチは買って来たパンを並べる。

スコーンから食べてみた。美味しい!

 

 

 

優しい味がする。

 

 

ブルーベリーの焼き菓子の甘さもほどよい。

 

 

クルミパンは山クルミが沢山入ってていて、風味があり、実に美味しい。

 

 

 

Wベリーソース。「イチゴとラズベリー」のWに砂糖、レモン果汁だけで作られたソース。

 

 

美味しい。パンがどんどんなくなる。

 

 

ブルベリーのソース。

とても美味しく、食いしん爺は、とても気に入った。

 

 

 

 

2日後、また、春小谷地に向かった。

小さいのに重いドアを開ける。少し間があってオーナーが出てくる。この前と同じく「いらっしゃいませ」とかの言葉も無く、少し離れて黙って立っている。

2度目の食いしん爺は、思い切って話しかけてみた。

すると、ニコニコして色々と話してくれるではないか。なんとなく予想どおりだった。

東京から両親がこの地を気に入り移住してきた。時々、親を訪ねて来る度、オーナーも気に入り、ついには自分も移り住んだそうだ。

「東京でパン作りを修行していたのですか?」

「いいえ、こっちに来てから独学で」

産直に出しているうちにお客さんが増えて常連さんもついた。そこで思い切って店を出してみたということだ。

そして家族が作っている有機野菜や岩手のものを使いソースを作り、パンを焼く

 

その話をある人にしてみた。

「あなたもやってみたら? そして、自分が美味しいと思うものを作ってみたら?」

黙っていると、

「無理よね。絶対、だいたい意気地がないし、口ばっかし。」

と気持ち良さそうに笑う。

 

 

食いしん爺には無理な話だ。できない。ただただ、羨ましいのだ。

「だからね、爺は、遠くても美味しいパンを求めて行くんだよ。食べる人がいなくてはね。」

「開き直ったな~」

そりゃあ、開き直る。でも、敬意を払って美味しいパンを食べる。素材を育てる人、食べる人がいて、その間にパンやお菓子を作る人がいるのだ。

結局その人も少しパンを食べると直ぐに行ってみたいと言い出した。

 

 

板の壁に書いてあるものの、始めて入るには、少し爺でも抵抗があった。

 

 

 

 

春子谷地のまさに森の中のパン工房。

 

 

偶然見つけた、森の中のパン工房「麦の粒」地元の小麦と天然酵母で作るパンは、美味しい。この発見がとても嬉しい。食いしん爺冥利に尽きる。早く、写真を撮ってブログで皆に知らせようと思う。

ただ、盛岡食いしん爺は、特に値段もメニューも載せない。自分の食べたものと店とオーナーの雰囲気を伝えて見てくれた人の興味に任せている勝手な爺さんなのです。

 

近頃、森や草原に来ると思うことがある。こんな場所に、家のアメショウ君を放したら、もうどこか森の奥に行ってしまうのだろうか?

今頃、エアコンの部屋でピーピーと小さな鼾をかいて寝ているだろう。草を掻き分けて獲物を狙う猫の野生を見てみたいとも思う。

 

 

眠る姿は可愛くて、ピーピーと鳴くイビキにも癒される。

 

 

 

自然の恵みの山ぐるみのパンを食べて美味しいと言い、猫を家の中で飼い癒しをもらう。猫君達は勝手気ままな生き物だと言われるが、アメショウ君より食いしん爺は、勝手なのかもしれない。

そのうちパン作りに挑戦してみようか?

 いや、止めておこう。盛岡食いしん爺は食べる人に専念する。