盛岡では、明日から、おおよそ3万5千人が太鼓を叩き踊る「さんさ踊り」が開幕する。盛岡八幡宮の大縁日も天候にも恵まれ、盛況のうちに終幕した。その日曜の夜、盛岡劇場界隈の祝宴があった。この辺りの3人が相次いで各々の家業を引き継ぎ、代表取締役社長を就任した祝宴だ。お祝いには、「八幡の大縁日」のメンバーも慌ただしい中、入れ代わり立ち代わりビールで喉をちよっと潤し、お祝いの挨拶をしては戻って行く。
忙しくても顔は出す。そういう、土地柄だ。
この辺りは、夜遅くまで忙しい飲食店の人達も今日は日曜で休みが多い。そこで今夜は、駆けつける。
会場は、やはりこの街の出身で若手が経営する「DINING わかんたんか」だ。本来は、休みのはずだ。その祝宴に、ちよっとした縁で盛岡食いしん爺も出席させていただいた。
<食いしん爺が食いついた帆立! 美味しい!>
4時からの祝宴。
久し振りに暖簾をくぐる。それから階段を昇る。
久し振りの「わかんたんか」
店の中を覗く。
もう賑やかだ。
いつも、気持ち良い笑顔のマスター。スタッフもホントに丁寧でいい笑顔で迎えてくれる。
久し振りに仲間の部屋に来たという空気だ。
乾杯は早い。今日も盛岡は、暑かった。とにかくみんな早く喉を潤したい。
出席している方から、
「カリモーチョって飲んだことありますか?」
と聞かれ、
「何ですか?」
爺の好奇心をそそる名前だ。聞けば、コーラと赤ワインを半々に混ぜた飲み物だった。名前からして中南米系。諸説あるらしいが、メキシコからスペインのバスク地方に渡った飲み方らしい。知らなかったが、色々な飲み物があるものだ。
厚切りがいい。美味しい刺身の盛り合わせ。
この店は、食材は勿論、調味料などにもこだわり、醤油は、沿岸の山田町産で甘味があり、刺身醤油に最適で、塩も野田村のミネラルたっぷりの「のだ塩」を使っている。
新玉ねぎの料理も美味しい。
ジョッキも皿も、どんどん空になる。
空になっては、次々とテーブルに料理が華を添える。
来た!
美味しそうな「奴」が、パックリ顔を出している。
お祝いの記念品の授与。
3時間が過ぎて記念の撮影。
忙しい中でも、直接、一言、「おめでとうございます」と話しては階段を降りて行く。だから、だいぶ映っていない人達がいる。
中締めの後、外に出ると、まだ風は生ぬるい。ふと、当たり前に「わかんたんか」と言っているが、考えれば不思議な名前だ。初めて来た時ににも、そう思った。時間とともに当たり前になっていた。今度、ちゃんと「わかんたんか」の意味をマスターに聞いてみよう。
「場所は?」
「わかんたんか」
「はい、わかりました」
という具合だが、写真に写っている人の半分ぐらいは知らないだろう。当たり前の様に話していても実は知らないことが身の回りに沢山ある様に思えてきた帰り道。
追伸
意味を待ち切れず、家に着くや否やパソコンを開いた。
「わかんたんか」とは、アメリカのインディアの言葉。
まだ、指言葉で話していた時代に聖地と言われていた場所に人々が集まって語らいをしていた。その場所に描かれていた壁画がわかんたんか。
意味は「言葉がなくても皆なが集まる場所」だった盛岡食くいし爺いは、良い名前だと思う。「カリモーチョ」といい「わかんたんか」といい、ちょっとディープな昨夜の祝宴。