<音楽が出ます、音量に注意>
朝早く目が覚めた。
まるで、失恋でもした様に、部屋でぼんやり。
だるいのは身体よりも心。
顔を洗い歯磨きしては、ごろり。
CDを聴いていると、スマホがバイブ。
「はい」
「どうせゴロゴロしてんでしょ、だったら出かけましょ!」
もう、11時半、かなりの空腹。
GOODTIMING
救われた気分で着替えも素早く。
今日は、彼女に任せ、ただのドライバー。
「では、どっちに?」
「南」
盛岡から東北自動車道を南下、
「どうせ食べてないだろ、肉にしようぜ、肉食おう!」
まるでオヤジ。
45分ほど走り、
水沢インターから駅前の方に10分ほど。
今日のランチは、「佐々忠」で、しゃぶしゃぶ
近頃、肉は殆ど赤身、今日は、久し振りの適度の霜。
赤身を好きになった訳、それは、別の機会に。
とにかく食べ物に、感謝の気持ち。
流石、肉屋さんの肉
美味しい!
噛むほどに、肉の旨味を色濃く残して溶けていく
「ほら、もう、食べごろ過ぎちゃう!」
爺は、しゃぶしゃぶし過ぎだと叱られる。
身体に充満するエネルギー。
肉がパワーになるには二日後らしい。
満腹、
「どうする?」
「ほら、いつか、あなたが話してたハーフノートに行きたい」
奥州市、水沢の農業高校の近くにある「ハーフノート」
年に何度か訪れる。
マスターは、
好きに楽しんでくれという感じ。
JAZZ通にはたまらない、オーディオらしい。
ただのジャズ好きには分からないが、目を閉じればライブ。
開放感のある高い天井。
珈琲を挟んで、去年の3月に来た時の事を話した。
静岡に行くことが決まった人と奥州市をドライブ。
勿論、ハーフ ノートで一息。
「本当に、色々とお世話になりました」
いいえ、どういたしまして。
「また、これからも連絡しますね」
ドライブ、ランチなどと楽しい一日だった。
今年、東京で彼女と新たな人生を歩み始めた人も一緒に会った。
時々、メールや電話で楽しく繋がっている。
「後は、誰と来たの?」
一瞬、
心地良いジャズが消えた。
「あとは、誰だったかな・・・・」
「忘れたふりは、しない! そういう男は嫌だな」
と不気味な笑顔を頬杖が支える。
おっきい眼玉の奥から、迫力あるビーム。
頬杖から腕組みに変り、笑顔が消えた。
「誰でもいいけど、あと2人はいるね」
あやうく、「違う、1人だよ」と言うところだった。
「偶然だ。今朝、ぼーっとしながら、この曲を聴いてた、好きなんだ」
「へぇ~、誰の、なんていう曲なの?」
「・・・・・」
「大好きなミュージシャンなんでしょ」
してやったりと手を叩いて笑う。
焦りと、度忘れのせいで一瞬で事実が嘘になる。
「焼餅焼いて欲しいの?残念でした」
腕組に脚も組んで、
「あたし、男に嫉妬したことがないの」
彼女にしてみれば、
行き詰まり気味で、引き籠っているだろう爺を連れ出し、
肉でも食べさせ元気づけようとした。
実は、優しく面倒見がいい。
ところが隠してる人と楽しんでいるとは、許せない。
彼女の嫉妬の定義は、もっと陰湿で邪悪的なもの。
今は、裏切りへの単なる怒り。
「その気持ちもね、ちょっとした嫉妬」
なんて言ったら、即、般若。
とにかく嫉妬とは、自分を持て余す厄介なもの。
やはり、ハーフノートは、一人が似合う。