<音楽が出ます、音量に注意>

 

ちょうど1年前の記事をFacebookが知らせてくれた。

時の流れが早い。

 

1年前

盛岡バスセンターに午前中から来て、

店の人、運転手さん利用客など沢山の人と話した。

それにしても不思議な場所だった。

(短く再編集)

 

15時45分

世話になっている人から電話。

「バスセンターにある時計屋で診てもらいたい物がある」

すぐに向かう、歩いて数分。

 

託されたのは「ロンジンの懐中時計」

美しい歯車の重なり

 

 

戻れば、バスの忙しい時間

 

 

 

高校生も続々と帰りのバスに乗る。

 

 

さて、預かった大正時代の懐中時計。

その人の、お爺さんの結婚記念の物が最近、止まってしまい、

修理は難しいだろうが知る人ぞ知る時計職人さんに、

見てもらえないか、それで満足だと言う。

 

大切にしてきたのが、一目で分かる銀の輝き。

 

 

 

 

 

 店に入る。

 すると触れもせずに一目見て、

 「これは無理です。この頃のは心臓部が壊れると治せないです。せっかく来てもらったので、開けてみますね」

 

 丁寧に説明してくれた。

 

 

名人にも不可能はある。

 「ロンジン社で部品が無い限り、難しいです。お爺さんのですか? これは何かの大切な記念でしょう。仏壇にでも大切に飾って欲しいですね」

名人は、時計から持ち主の人生の1ページを見た。

 

 

様々な修理の依頼に応えるため、

製造中止の部品も集め、大切に保管しているという。

感心していると次のお客さんが待っていた。

   

● もう17時近い。

 

 

●17時、閉店。

    

 

ここで長いラーメン屋さんは、シャッターを下ろしながら、

「解体には色々な想いはあるが、ここで始めて、沢山の人と知り合えたのが私の財産だ。最後まで時計屋さんと頑張ってるから、また来てね」

と話し帰って行った。

 

 

喫茶コーナーも店じまい。

 

 

 

陽もだいぶ傾いてきた。

 

 

バスは、大混雑

 

 

●17時30分過ぎ

流石に6月、陽が長い。

 

 

ロンジンの診断の結果を伝えに行った。

「そうでしたか、ちゃんと磨いて大切にします」

磨く度、お爺さんの想い出が蘇るのだろう。

 

●19時半

返して来て戻ると、人影も、まばら。

 

 

 

 

●20時過ぎ

発着のバスも少なく、

冷えてきた空気のせいもあって淋しくなってきた。

 

 

●21時過ぎ

高層のマンションの灯りが周囲を圧倒する。

何とも不思議な光景。

 

 

 

●21時半

今日は沢山の人と話すことができた。

 

花巻のマルカンデパートと盛岡バスセンター。

同じ土台では語れないだろうが、昭和レトロの灯が消える。

どちらにしても建物が古いだけじやなく、そこで多くの人の人生が交錯している。

それが昭和の雰囲気を醸し出しているのだと想った。

 

                     <終わり>

                                         

 

・平成28年9月30日閉鎖

・同年10月20日解体工事開始

 

バスセンターが建設された当時も新しい景観を創ったのだろう。

街は、変わり、歩く人も代わる。

新しい建物になり、

何が出来て、どんな人たちが集まるのだろう。

人々の人生が交錯する場所になって欲しいと願う。