花巻に用事がある日の2、3日前に知人から温泉の誘いがあった。
場所は隣の北上市。しかも温泉と聞いて
「わかりました。ちょっと行ってみます。」と即答。
その日、花巻の用事は10時過ぎには終え、北上に向かった。目指す所は夏油温泉の麓辺りにある「瀬見温泉」 入り口の看板は何度か見てはいるが。まだ入ったことがない。
夏油に向かう道から看板を右折し、少し入るとすぐに建物が見えてきた。誘ってくれたのは秋田の人で温泉好きなのだ。秋田からは高速で北上方面には来やすいと、よく話していた。
玄関で迎えてくれた。鬼と一緒に。(笑)
昨晩から泊まっていて今日も温泉に浸かりゆっくり帰るのだそうだ。
ちょっとだけ部屋を見せてもらった。
渓谷と緑が窓の外に広がる。
渓谷を流れる川は、深い緑の底を勢いよく下る。
この景色を部屋から眺めることが出来る。
昨日は、雨だったが川の流れは綺麗だった。
この温泉の歴史は、八幡太郎義家が夏油渓谷に沿って攻め入って来た。
一つの地点で防戦、そして二の三のと戦ったが敗れ、ついに奥羽山脈の奥深くに逃げた。この攻防の三か所が、一の攻め、二の攻め、三の攻めとして地名に残っていた。渓谷に自噴していた湯は、33度と低く、昭和になって、この地にもっと温度の高い湯脈を求め続けた何人かの人達の想いも中々に実現しなかった。
攻めても攻めてもうまくいかない。
この歴史と温泉探しをかけて、攻めを「瀬見」と転じて「瀬見温泉」としていた。そして温泉の名称を公募したところ、やはり「瀬見温泉」という名があり、採用したとのこと。
残念ながら、直接、女将さんに聞けなかったが、知人の話とホームページから何人もの人が関わり、引き継がれてようやく温泉施設ができあがったことを知った。夢を追い続けた人達の想いを守り続ける人がいた。
苦難の歴史の上に今があるようだ。
「美人の湯」
天然の保湿成分「メタケイ酸」というものがあり、この美人の湯は、含有量が多いとのこと。この物質は、保湿効果がある。
でも、55段の階段を登ります。
緑の中の大露天風呂です。男湯から入ると女湯と真ん中で狭くはなっていますが、繋がっています。混浴です。知り合いの方は、ご夫婦で来ているので真ん中に集合。混浴。開放的に三人で森林浴とメタケイ酸を存分に。
お二人は、昨日から四回目とか。奥様は、もともと肌のきめ細かい秋田美人。入る前からすでに美人なのです。
なんか、湯上りは、本当に肌が、すべすべとして気持ちいい。
肌に優しく、なるほどと頷いてしまう「美人の湯」でした。
朝も早くから、夜も八時まで日帰りでも入れます。(※今年の5月下旬現在。気候により露天風呂の温度が下がり入れないことも。内湯はOK)
食いしん爺は温泉好き。
岩手をはじめ、北東北は、それぞれに古くからの歴史と物語を秘めた温泉の宝庫。残念ながら、1時間半しか時間がありませんでしたが、秋田の方に岩手の温泉を教わっている盛岡食いしん爺です。
でも、二人との距離は、これでまた、ぐっとちかくなりました。
昔から、農作業が一段落したり、体調が悪かったり、寒い冬の湯治など温泉が人々の生活に根差していた頃、緑の中でゆっくりとしては、また帰って頑張る。ストレス社会の現代にこそ必要なのかもしれない。
今度、ゆっくり来て、女将さんに瀬見温泉の話を聞いてみることにしよう。
さて、車に乗り。ハンドルを握るとビジネスモードにギアチェンジ。
あっ! 美味しものを探す時間がなかった。まあ、食いしん爺もちよっとした骨休め。
それも次の機会にとっておきます。