三月も終わりに近い日の午後
「今、いらっしゃいますか?」
と電話があり、わざわざ、タクシーで駆けつけてくれた方がいました。
本来であれば、こちらが、お礼しなきゃない立場の方。
「やあ、色々とお世話になりました」
と微笑ながら、袋から綺麗な紙の箱を取り出し、テーブルの上に置いた。
「東雲」だ!
爺の大好物だ。
「ありがとうございます。では、遠慮なく」
とすぐに言ってしまった。(笑)
色々と盛岡の特に、盛岡劇場界隈の古い街並みがある辺りの文化・歴史を教えて
いただいた方です。
家族に岩手町ゆかりの方が居るそうでなのです。
「東雲」は実は「食いしん爺の大好きな和菓子」で、恐縮するものの笑みがこぼれて
しまった。
銘菓「東雲」は、昭和18年の創業の岩手町の「山見の里 菓子司 丸中」さんが
造っている。
初代の方々が、終戦後の材料難の頃に、落雁を製造する際の余る部分を使って
お菓子が出来ないものかと色々と考えた。
そして、当時、農家から手に入れやすかった「くるみ」「ゴマ」を加え、試行錯誤を
繰り返したようだ。
戦後の物の不自由な時代。
努力に努力を重ねた結果の結晶が「東雲(しののめ)」なのだ。
この東雲の「優しい歯ごたえ」と「くるみ、胡麻」の風味が楽しい和菓子だ。
わざわざ駆けつけていただき、それもタクシーで往復してまで・・・・
引き続き色々とご指南をいただかなくてはならないのに。
家に帰って、着替えるよりもなにより、早速、一ついただく。
お茶を飲み飲み、二つ目を裸にしている。
いつも、二個続けて食べないと気がすまない。(笑)
「食いしん爺」にとっては、そういうお菓子なのです。
なぜ「東雲(しののめ)」という名前がつけられたのか?
東雲は明け方ということ。
写メを見てください。
薄茶のくるみは、雲を表現していて明け方の雲です。胡麻は、明け方に飛ぶ鳥
だそうです。
なるほど、戦後の混乱期に、東雲に込められた光景は、平和の象徴なのではない
でしょうか。
ここまで、知ってしまったら、もう一つ食べなくては・・・・・
当時の造る人の思いの物語が、一層、お菓子を美味しくする。
そんな物語をしっかり受け取めていただきます。
手造りにこだわる「造り手」から「贈り手」をへて爺は、その物語と心を存分に
味わい、そしてしっかり受け取りました。
しかし、岩手にはクルミを使ったお菓子が多いような気がする。
そして、爺にはブラックコーヒーとよく合うと思っています。
お茶の偉い方が、「東雲」を絶賛し、地元で造ることの大切を語ったと言う話を
どこかで聞いたことを想いだしながら、コーヒーをいれ始める。
これは、「盛岡食いしん爺流」です。
これからは、時々、岩手のグルメの味と物語を探しに行こうと思う。
ますば、岩手町の沼宮内に、グルメ・和菓子の「東雲」を訪ねて買いに行って
みよう。そして「東雲物語」の街を歩いてみようと思った。
岩手食文化は、地元の素材をとても大切に扱う風土があるような気がします。
I LOVE 盛岡&岩手グルメ!