これから、灘しげみさんの作品紹介をしていくにあたって、

記念すべき第1回目は、コミックスについて書こうと思います。

 

灘 しげみ 名義でのコミックスは全部で12タイトル20冊出ています。

一番最後に出版された本が1987年で、すでに30年以上経過しており、残念ながら現在全て絶版、紙の本を読むには古書を入手するしかありません。

ですが電子書籍として、『スキマ』 という正規配信サイトにて、下記5タイトル10作品(コミックス11冊分、全て若木書房発行)が、無料で読めます。

『コートの嵐』1~3巻(テニス)

『栄光のストローク』1~3巻(水泳)

『栄光への出発』1~3巻(バスケットボール)(雨あがりのライバル(新体操)・燃えるライバル(スピードスケート)併録)

『逆転ラブ・スマッシュ』(テニス)(雪原の夜明け(アルペンスキー) 併録)

『モカのかおりは・・・』(サヨナラさしすせそ・蜂っ子菜っちゃん 併録)

 

このうち、『モカのかおりは・・・』以外の10冊は、全てスポーツ漫画ですが、

いずれも大変熱すぎる程の代表作で、魔球とか必殺技とか好きな方には、特にオススメです。

 

『モカのかおりは・・・』は、喫茶店を舞台にしたハートフルな作品。

連載開始時の雑誌編集部記者のコメントに、「きっさ店はその町の応接間・・・。そこに集まる人びとが持っているそれぞれのドラマを気持ちをこめてかいてみよう・・・、そんな熱意がこの力作を生み出しました。コーヒーの暖かみは、人間の心の暖かみを伝えるものだと思います。」とあります。

 

あとは、ドコモの電子書籍配信サイト『dブック』で、女性中学校教師が主人公の学園モノ作品『出席をとります』1~3巻(ひばり書房)が、有料配信されています。

 

残りの下記6タイトル14作品は、紙の本を探すしかありません。

 

『あの空に打て』(若木書房/ソフトボール)(ハイジャンプに命を!(走り高跳び)・わたしのジュピター(警察犬モノ) 併録)

『燃えよ!スマッシュ』(学習研究社/テニス)

『ピンチにお願い!』(ひばり書房/野球)(漂い鳥あいつ・白衣の夢みつけた!・バラの咲く村 併録)

『時のかなたに』(小学館/SFロマン)(まぼろしの蝶(ホラー)・青い花は咲かない!・地の底からの呼ぶ声は・・・(ミステリー) 併録)

『青き伝説の島』(スタジオシップ/ラブロマン)

『スター誕生物語』(小学館/ゲームブック)

 

これらコミックスの中で、『あの空に打て』 のみが、貸本末期時代に出版された初期作品集で最も古い物ですが、少女漫画で珍しい競技や題材が描かれており、ソフトボールと走り高跳びを描いた2作品は、著作の中でも唯一の作品となっています。

 

『時のかなたに』 は、雑誌に読み切り作品で掲載され、1年ほど後に『地の底からの呼ぶ声は・・・』が、時のかなたにシリーズとして連載されました。コミックスには1話のみ併録された為、1巻の表記があります。ですが、結局2巻は出ませんでした。そのため『地の底からの呼ぶ声は・・・』は、2話から4話までの続きが未収録のままです。

 

灘しげみさんは、原点のスポーツ作品以外にもホラーやサスペンス、ラブコメ、ミステリー、SFなどのジャンルも描かれており、ご自身はSFモノが好きだったようで、著作の中で好きな作品として『時のかなたに』を1977年時点で挙げられています。1994年に執筆された最後の作品『異次元鬼光』もSFミステリーでした。

 

私も、ホラーやサスペンス、SFあたりが読んでて面白いなと思いました。

スポーツ以外の、ミステリーなどオカルト系をまとめたコミックスも出して欲しかったです。

 

皆様も機会がありましたら、御一読下さいませ。
 

ちなみに上の写真は、1976年8月20日発行の旧装丁『コートの嵐』3巻です。

この日に東京日本橋の三越本店でサイン会が有りました。

2日後の22日は大阪三越でもサイン会でした。

『栄光への出発』 が週刊少女コミックに連載中で、この時点では『あの空に打て』と『コートの嵐』全3巻の4冊しかコミックスが出てませんでした。

灘先生が雑誌デビューから、ちょうど丸8年あたりで、翌月20日に『栄光のストローク』1巻が発行された時期です。そして76年9月26日に故郷浜松の老舗書店でもサイン即売会があり、コミックス購入者で希望者には先生の原画プレゼントも有ったとの事です。

私が生まれる前の話なので、実際に現場に行かれた方の話を聞いてみたいものですね。

では、また次回作品紹介で。