春の風は気持ちよく、村に吹いていた。桜は全て、散ってしまったが春のにおいはまだ残っていた。春のにおいを嗅ぐと様々な昔の出合いの思い出や別れの物語を、読者皆さんも懐かしくおもわれるだろう。
そんな、春の陽気に包まれた広々とした校庭で6人の子供が遊んでいた。校庭には他に人は居ない。彼らは始めにサッカーをした後、野球をしていた。

耕、優介、祐司チームと健太兄弟、雄平チームに分かれていた。今は祐司チームが攻めだった。
「手加減してるんだから、打ってよ~」
「何をいってるんですか!全然加減してないですよ!」
涼野がピッチャーだったが確かに球が速かった。打順は優介である。
「それじゃあ、行くぞ!」
「ええ!?」

そんな様子を見ながら祐司は耕に聞いてみた。
「どうだ?お兄さんの様子はやっばり、サッカーの時とは違うだろ?」
「そうだな…なんか生き生きしてるよ。」
「でも、だからこそ大変だな。」
「かキーン!」
優介の打った球は学校の外に出てしまった。
「手加減したからって、こんなに打つなよ。」
涼野は笑いながら言った。
「じゃあ…僕が取ってくるね。」
優介が走って行った。
その時、祐司が涼野に聞いた。
「やっぱり、野球上手いですね。」
「褒められる程じゃないけどな。」
「でも、野球は好きなんですよね?」
「いや…俺はサッカーの方が好きだな。」
涼野の苦し紛れの一言だった。
「お兄さん…もう嘘つかなくて良いですよ。」
「え…な、何が?」
涼野はいきなりの変化球に戸惑った。
「廃部の話…聞きました。」
「…何でそれを…」
「僕ら、今日の午前中に町に行ったんです。」


「嘘をついてる?」
耕が聞き返した。
「ああ、お兄さんはサッカーがやりたいって言ったんだろ?おかしいと思わないか?」
「べ、別に自分のやりたいって言ったことは個人の問題だから良いじゃないか。」
耕は祐司の考えについていけなかった。それは、優介も健太も同じだった。ちょうどその時、祐司は昨日のおじさんから聞いた話を思い出していた。
「好きなことをしている時、人は良い顔をしている…」
「え?」
「お兄さんが本当にサッカーがやりたかったら、リフティングをしているときに悲しそうな顔をするか?」
「た、たしかに…」
「だからね、お兄さんは本当にサッカーがしたいわけじゃない。何かしらです野球部に入れない理由があるはずだよ。」
祐司の推理に三人はうなずいた。しかし、優介は慎重になって言った。
「でも、それだけで決めつけて良いのかな?」
「そこで僕は考えた…」
祐司は得意げに言った。
「お兄さんと一緒に野球をすればわかるさ!」
「なるほど~」
一同は納得した。
「じゃあ…健太!明日は土曜だから午後からお兄さんと遊ぶ約束をしてくれないか?」
「了解!リーダー!」
「耕と優介も大丈夫?」
「おK!!」
「じゃあ、決まりだな♪」
「じゃあ、また明日~」
それから四人は綺麗な夕陽の中、我が家へと帰っていった。

「ただいま~」
「おかえりなさい。」
祐司が家に着くと母親の、のんびりした声に返ってきた。祐司は自慢の鼻で今日の夕食はカレーライスだとわかった。もっとも、カレーの匂いは気づきやすいのだが…
「兄ちゃん、お帰り!今日はどんなミッションだったの?」
祐司に話しかけてきたのは、祐司の唯一の兄弟である。雄平である。
「ま、まあぼちぼちだな。」
「答えになってないよ!」
「あ、そういえば雄平は野球好きだったよな?明日、午後から野球するんだけど一緒に来るか?」
「あ、うん!行く! にしても、兄ちゃんは誤魔化すのが上手いね…」
「なんか、前にも言われた事があるような…」
「そうだ!兄ちゃんは中学になったら、町南中学校に入るんでしょう?」
「ああ、そのつもりだけど?」
「じゃあ、僕とは離ればなれだね。僕は町北中学校に入ると決めたんだ。」
町の中学には北と南の二つがある。
「え…何で北中学校に入るんだ?うちらの小学校のだいたいの人は南だろ?」
「それがね、僕は中学校に入ったら野球部に入るつもりなんだけど南中には無いんだって。」
「え?!」
祐司は健太のお兄さんは南中に行っている事を思い出した。
「なるほど…!」


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「絶対何かあるよ!」
次の日の放課後、耕と祐司て優介は秘密基地に居た。
「確かにな…僕もそう思う。」
祐司は耕から昨日の話を聞いて腕を組んでいた。
「なんか、上手く誤魔化してるけどお前、もう別行動やめろよ…」
耕は呆れて言った。
「それと、健太のお兄さんは 健太はもう友達ができたのか って言ってた…何故あえて「健太は」って言ったんだ?もしかしたら、お兄さんは友達ができなくて悩んでるんでは…」耕は考え込んだ。
「それにしても、よくもまあ耕君はそんな事に気づくよね。」
優介は感心していた。
「まあ、洞察力だけが俺の取り柄だからな。」
「それも、そうだな。洞察力以外に取り柄がないもんな。ハハ。」
「祐司…お前…。まあ、そんなことよりこの事、健太に話してみるか。」
「え…大丈夫かな…健太君が心配するんじゃない?」
優介はいつも、友達の心情考えている。
「いや、耕の言う通り言おうか。健太のお兄さんの為にも事実をしる必要がある。」
「そうだよね…お兄さんの為には必要かもね…」
優介は心配しながらも、うなずいた。

「お待たせ!」
そこへ、健太が来た。
「おう。お疲れ!」
「昨日はごめんね、一緒に遊べなくて。」
「イヤイヤ、僕らの方こそ勝手についていちゃて悪かったね。」
健太が座るといきなり耕が聞いた。
「ねぇ、健太!最近、お兄さんに変わった事ない?」
「え…変わった事……特にないけど、どうして?」
いきなりの質問に健太はびっくりした。
そこで、耕は昨日感じたことを話した。
「そうなんだ。でも、お兄ちゃんは明るい性格だし特に悩みはないと思うよ。」
「自慢のお兄さんなんだね」
「へへへ…」
耕に言われて、健太は照れていた。続いて、優介も質問した。
「あ、健太君のお兄さんはサッカーが好きなの?昨日リフティングしてたけど。」
「うん。そうだよ。でもね、小学生の頃は野球が好きで野球を習ってたんだよ。それなのに、中学になったらいきなりサッカーがやりたいって言ったんだ。最初にこっちに来たときは野球部に入るって言ってたけど…」
「へー面白いお兄さんだな。」
その時、祐司は眉間にシワをよせた。
「お兄さんは嘘をついてる。」




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