前回の続きを書きますね。私の好きなシーン解説!


「あいつのことがそんなに大事か」
といったところでしょうか。

英語の方が直訳っぽくなるのでニュアンスをお伝えするために書きます。
You do care about him.


以下、別れのシーンの回想



「あなたのことが好きだったのは、パパの仕事とチェンとの生活を守るため」


くぅぅぅ
本心は違ったんだと思うんです。本当は、夏沫の欧辰のことちゃんと好きだった。


そして一連の夏沫のこの表情!演技がとっっても上手い!この表情見てください、ぴったり。しかもめちゃ可愛い。パービースー、本当に綺麗で上品で素敵なんだけど、ほかの女優さんと並んだ時に顔が平べったいのだけ気になる…





「僕は謝ったんだぞ!」という欧辰に対して、「謝る?ハッ」というときの表情。



ぶっちゃけ、私は夏沫に同情しますー。
彼女は大切な人全てを失いそうになってるんですよ。周りにもう誰もいない。そして、直接的ではないにせよ、引き金をひいたのは欧辰ですよね。



交通事故なんて偶然の出来事じゃないか!と言われたらそうなんですけどね。刑法の用語を使えば、異常性と寄与度共に高い介在事情と言えますので、刑法上は因果関係は否定されます。笑



しかし、あれなければこれなし、の条件関係はあるわけですね。まさに、欧辰が追い出したりしなければ、交通事故もなかったわけです。



被害者の夏沫が欧辰を憎む気持ちはよくわかります。まあ確かに、振るところとか言わなくていい傷付けるようなこと散々言ってめちゃくちゃ八つ当たりですけど、「僕は謝ったんだぞ!」とか「どうすればいいんだ?」言われたら「はー???死んで詫びろ?」ってなりますわ。






プライドも何もかも捨てて、ただ捨てられたくない一心で土下座までしちゃう欧辰。
 


なんでもするから、捨てないでくれ…

どんな代償でも払うから、離れていかないでくれ、が直訳。


そして現代のシーンに戻り、欧辰はこういいますね。


「6年前、僕は洛熙と君を引き離しただけだ。それなのになぜあれほど残酷な形で僕から離れていった。君にとって洛熙はそんなに大事だったのか?だったら僕はなんだったんだ?」



僕はなんだったんだ?って、すごい切ないけど…切ないし、欧辰からしたらそうだろうけど、私はこの部分すごい自己中に感じてしまう。



夏沫は養子とはいえ、自分を引き取って育ててくれた両親を失ったんですよ?その彼女に向かって、洛熙と君を引き離しただけって…自分は悪いこと何もしてない、みたいな。
洛熙の人生を何の権利があって勝手に踏み躙れるのか意味分かんないし、引き離しただけって反省の色ゼロですよね。少なくとも洛熙の人生は滅茶苦茶にしてるのに自分が悪いことしたなんて全く思ってないんかー。変わってないんかー。



そして、それは夏沫も同じように感じた。
小説には、「欧辰の悲痛な表情を見て、夏沫はなんだか急におかしくなった。しかし笑うことができず、心の中で溜め息をついた。」とあります。
ドラマの夏沫にはそんな素振りなかったけどな笑


そしてこのシーン。


「まさか、まだ分かってないの?
私たちは住む世界が違うの。

私はまるであなたのおもちゃみたいだった。
あなたは私に誰も近寄らせなかったわね。私の弟でさえも近づくのを嫌がった。きっとあなたの世界が孤独だったから、私にも同じように孤独でいて欲しかったんでしょう。友達だって作らせなかった。」





「僕たちが住む世界が違うなんて、そんなことあるわけない。
君も僕と同じ孤独な人間じゃないか。」


この欧辰のセリフ、なんとドラマオリジナルですー!こっちの方が好きーー!


そしてここで、夏沫の幸福論が語られます。

夏沫は孤独な人間だからこそ、努力して幸せを掴んできた。でも、人に頼って手に入れた幸せは、ある日泡のように弾けて消えてしまう。
欧辰に頼って与えてもらっていた幸せは、欧辰の手によってあっけなく壊されてしまった。
だから、自分が強くなって、自分を軸にした幸せを掴み、大切な人を守る、そのためにはどんな代償も惜しまない、と。


『泡沫の夏』
泡沫の、とは、はかなく消えやすいものの例えです。はかなく消えてしまう夏。夏は夏沫の夏なんでしょうね。
夏沫がはかなく消えるわけではないので、はかなく消えてしまう幸せを追い求める夏沫の物語、といった意味でしょうかね。


うーん。台湾と日本語が同じ漢字を使っていて良かった、と思う瞬間です。題名に込められた意味を理解できました。
一方英題は、Summer’s desire。確かに夏沫の願い、みたいな意味ではありますが、泡沫、はかなく消えてしまう要素はどこにもありませんね。
字幕ってやっぱり言語の壁を越えられないのよー。



話を戻しまして、

欧辰「じゃあ、あのときの言葉は本心じゃなかったのか?」

夏沫「どの言葉?」


欧辰「僕を好きだったことはないって…一緒にいたのは、養父の仕事と、弟を孤児院に戻さないためだって……いや、最初のだけに答えてくれればいい。」


ここ、グッと来ましたえーん
君が、養親と弟のために自分と一緒にいてくれてたのは分かってたよって…切なすぎる。


「いつの日か、君が僕を必要としなくなるとき君がすぐ離れて行ってしまうのが怖くて、僕の世界に閉じ込めておきたかったんだ。
僕の声だけ聴いて、僕のことだけ見ていれば、もしかしたら…もしかしたら、僕のことをだんだん好きになってくれるんじゃないかと…。
本当に、昔一度も好きだったことはないのか?」



欧辰…切なすぎる。自分が孤独だから夏沫も孤独にしたかったわけじゃない。
家族のために自分と一緒にいる夏沫を、自分の声しか聞こえず自分のことしか見えないように、自分の世界に閉じ込めていれば、いつか好きになってくれるじゃないか、そういった束縛だったんですね。


切なすぎる束縛じゃない…こんな愛に満ちた束縛してほしい。笑



それでもまあ夏沫はバッサリ切り捨てます。「ないわ。一度も好きだったことはない。」



ドラマの夏沫は冷徹だけどね、小説から推測するに、きっと夏沫も胸が痛かったはず。
夏沫は欧辰という人間をよく分かってますから……誤解していた、切なすぎる束縛の意味も知ったし、彼が苦しんでるのもよくわかる。
でも、今の彼氏は洛熙で、欧辰との未来はない。
だから心を鬼にして、中途半端な態度は見せず、きっぱり「ないわ。」と。



本当は絶対好きだったんですよ。でも、そう言ったら何になる?好きだったと言ったところで、付き合うわけでもないのに、変な期待を持たせるだけだ。自分のことは恨んでいいからはやく忘れてほしい。夏沫自身も辛いけど、欧辰には自分のことを吹っ切って幸せになってほしい、と、そういうシーンだったと思うんですよね。



ドラマはただただ冷徹な女ですが。残酷冷徹な夏沫もまたいいけどね。ていうか、欧辰と洛熙の目にはああいう風に映ってるんですよ、夏沫は。だから、我々が観ているのは彼ら2人が見ている冷徹な夏沫。



原作では、本当は何を考えてたかっていう内心がとっても多いし、深い。だから、すごくドラマ化しにくい小説だなと思います。我々に夏沫の内心が伝わってこないから、そりゃ何考えてるかわからない主人公、という印象を受けますよね。
かといってナレーターばっかなのもすごい独り言多い人みたいになってダサいしねー。




好きなシーンの語りはこれくらいにしておきます!ありがとうございましたー!