アレグロ・オルディナリオ~マーラー資料館とわたしの大切なこと-KC3Z0043.jpg
昨年11月にica classics から出されたラインスドルフとボストン交響楽団のマーラーの交響曲第1番他のDVDは、よくぞ出してくださいました、という素晴らしいものだと思う。ボストンに迎えられたばかりのラインスドルフが、オーケストラを見事にコントロールして自分のマーラーの音楽を確信をもって造り上げている姿が感動的である。
多分、マーラーの交響曲の映像としては最も古い記録だと思う。
ところが、こんなに素晴らしいDVDなのに、国内発売されたものの帯の解説のあまりのでたらめぶりに怒りを通りこして絶望に近いものを感じてしまった。
そこには次のようにある。
「……(ラインスドルフは)1960年代には、LPの登場で長時間録音が可能になったという追い風を受け、RCAビクターに超優秀録音のマーラーの交響曲全曲を録音(第4番だけは除く)し、マーラー・ブームを先導するという偉業も成し遂げました……」どうしてこんなにひどいでたらめを書くのだろうか。この紹介は誰が書いているのだろうか。ラインスドルフに対してはもっと正当に評価されるべきだと思う。特に、ヴァーグナーの演奏史における重要性。また、それと並んで、マーラーの演奏史・録音史における重要性も極めて大きなものがある。
そうであるからこそ、このようなでたらめな情報を貴重な記録となる商品の解説に載せるというのはほとんど犯罪的な行為であろう。この貴重なラインスドルフのDVDを一人でも多くの人に手に取って欲しいという思いから出ている言葉であると好意的に受け止めるにしても、やはりこれは見過ごしにはできないでたらめである。それにしても、ラインスドルフと誰かを間違えているとか、複数の指揮者の業績についての知識が入り混じっているとかという次元のことというよりも、故意にでたらめの情報を流して混乱させようとしているのでは、と思ってしまうぐらいの無茶苦茶ぶりである。naxosさん、なにをしているのですか?
ちなみに、ラインスドルフがボストン交響楽団を指揮して60年代にRCAに録音したのは第1番(62年10月)、第3番(66年10月)、第5番(63年11月)、第6番(65年4月)である。第6番は国際マーラー協会版による初の録音ということを謳ったもので、スケルツォを第2楽章にした初の録音であった。