一昨日(6日)が誕生日(1914年)で、昨日(7日)が命日(1981年)だったので、いろいろなところでキリル・コンドラシンの名前を目にした。それは喜ばしいことであった。だが、コンドラシンが語られているさまざまな言葉を読んでいるとそこから少々気になる調子が感じられてきた。
それは、「コンドラシンとマーラー」、「ソヴィエト(および旧社会主義圏)におけるマーラー」に関して大きな誤解が定着しているのではないかということである。つまり、ソヴィエトおよび旧社会主義圏ではマーラーはあまり知られていなかった(演奏されない、レコードも出されていない)という誤解である。
ソヴィエトをはじめとする旧社会主義圏でのマーラーの受容は、おそらく今日の日本で考えられているよりもはるかに早くまた広いものであった。だから、コンドラシンが残したマーラーの録音について、「マーラーがほとんど知られていなかったソ連で果敢にコンドラシンが取り上げた」などという認識はまったく的外れである。
(つづく)