本日4月22日は、若くして癌で逝ってしまったイギリスの偉大なコントラルト、キャスリン・フェリアー(1912~1953)の誕生日であったことを、緑の錨さん の記事で思い出しました。
この人が短いキャリアの中で遺した録音には、バッハやヘンデルの素晴らしい演奏や、シューマンやブラームスの名唱、そして、ブリテン(作曲家自身がこの人を想定して作曲したという)の名演もありますが、なんと言ってもこの人の名前と強く結びついている曲は『大地の歌』でしょう。
ある年齢以上の方の中には、ブルーノ・ヴァルター指揮のヴィーン・フィルのもとでこの人が歌った1952年録音のレコードでマーラーに出会ったという人がたくさんいらっしゃると思います。
数あるマーラーの録音の中でも多くの人をマーラーに導いたという点では一、二を争うレコードではないでしょうか。
そのオリジナルのLP(London-LL625/626)です。
さらにこの人の歌ったマーラーとしては、1951年のアムステルダムにおけるクレンペラー指揮の第2番のライヴがあります。20年以上眠っていたものが、収益を「キャスリン・フェリアー 癌研究基金」に寄付するという条件で著作権の所有者から許諾が出て、LP化が実現した時は本当に感動的でした。(Decca-D264D2)
ソプラノパートを歌っているのはジョー・ヴィンセント、あのメンゲルベルク指揮の第4番で歌っている人です。
『大地の歌』ヴァルター/ヴィーン・フィル
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交響曲第2番/クレンペラー/コンセルトヘボウ
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また、フェリアーのマーラーの録音には、近年になってようやく聴けるようになったたいへんなものがいくつかあります。その中でも特に重要だと思われるものを次に二つ挙げます
交響曲第3番と『亡き子を偲ぶ歌』。
まず、サー・エイドリアン・ボールト指揮の交響曲第3番です。これは、1947年11月29日のBBCによる放送録音です。このCD、今日までに市販されたこの第3番の演奏の記録としては最も古い日付のものであるという点でも貴重です。
交響曲第3番/ボールト他
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また、クレンペラー指揮による『亡き子を偲ぶ歌』は、1951年7月12日のコンセルトヘボウでのライヴ。先に挙げた第2番と同じく、マーラー没後40年の年の演奏です。
そして、最後にもう一枚。
『大地の歌』バルビローリ/ハレ管弦楽団
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冒頭が欠落していたり途中にもいろいろときずがあったりと、問題のある貧弱な録音ですが、バルビローリの『大地の歌』となれば、マーラーに惹かれる人は聴かずにはいられないのではないでしょうか。