本日4月5日はヘルベルト・フォン・カラヤンの101回目の誕生日にあたります(ちなみに今年の7月16日が没後20年にあたるのですが)。
それでそのことを寿ぐために、半世紀の時を経て初めて日の目を見た、スカラ座での『ヴァルキューレ』のCDについて書きたいと思っていたのですが、2、3日前にたまたま名古屋市公会堂の前にたたずむこととなり、そうだ、これをまず書かなければいけないのであったということを思い出してしまいました。
ちょうど50年前の1959年の10月半ば、カラヤンはウィーン・フィルとともに、大規模な世界演奏旅行に出発します。
10月18日のニューデリーを皮切りに、ボンベイ、マニラ、香港、そして日本に来てから、ホノルル、それからアメリカ各地を巡ってからカナダに行き、11月23日のモントリオールが最後の公演地という、ウィーン・フィルとしてもそれまでに経験したことのない大々的な遠征でした。
日本では、東京で5回、大阪で3回、そして、名古屋で1回カラヤンの指揮によるコンサートがあり(10月27、28、29日が日比谷公会堂、31日、11月1、2日が大阪フェスティバルホール、3日に名古屋に来た後東京に戻って6、7日が日比谷公会堂)、またNHKの公開放送のための演奏を旧NHKホールで行ったり、11月5日にはボスコフスキーの指揮でJ・シュトラウスの夕べが催されたりもしたようです。
ちなみに、カラヤンがウィーン・フィルを率いて日本に来たのは意外なことにこの時だけでした。
この時のプログラムは、ハイドンの第104番、モーツァルトの第40番をはじめとしてベートーヴェン、ブラームス、それに、ブルックナーの第8番などカラヤンの得意な曲を並べたものでした。
それで、名古屋でのコンサートです。
これがこの前の記事に書いた「名古屋市公会堂」で行われたのでした。
先日、このかなりの歴史的な建物の前にたたずんで「そうか、ここでカラヤンがウィーン・フィルを指揮した時から50年になるのだな」と思ったときに、ちょうど半世紀前のカラヤン/ウィーン・フィルと伊勢湾台風とのことを書いておかなければいけないという思いに突然とらわれたのでした。
カラヤンとウィーン・フィルが来日する一月前に、伊勢湾台風という台風によって東海地方は未曾有の被害を受けました。実は、当時3歳だった私も、流されかけたのでしたが(突然の浸水でぷかぷかと浮き上がった畳の上で洪水であることも知らずにすやすやと眠っていたそうです)。
それで、この時のカラヤン/ウィーン・フィルの東京と名古屋でのコンサートは『伊勢湾台風災害「NHKたすけ合い」特別演奏会』として開催されることになり、純益900万円が寄付されたのでした。
カラヤン関係の文献でもウィーン・フィル関係の文献でもあまり目にすることがないように思いますので、どうしても書いておきたいと思いました。
この時の旧NHKホールでのブラームスの第1番と日比谷公会堂での第4番を中心とした貴重な映像と録音が下のような形で出ています。
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また、この記事の始めのほうに書きましたが、やはり半世紀以上前のスカラ座での『ヴァルキューレ』という聴き逃せない録音が初めて聴けるようになりました。これはカラヤンとしては4種類目の『ヴァルキューレ』になりますが、演奏としては最も古いものになります。
それも続けざまに二つのレーベルから出されました。音質については一長一短です。