本日2月13日は、リヒャルト・ヴァーグナー(1813-1883)が70歳の誕生日を3ヶ月ほど前にして、ヴェネツィアで亡くなった日です。
今日は、ヴァーグナーへの追悼にちなんだ曲を聴いていたいと思います。
まずは、友人であり、義父でもあったフランツ・リスト(1811-1886)の『リヒャルト・ヴァーグナーの墓に』。
この曲は、リスト自身の言葉によれば、書かれたのは1883年5月22日(ヴァーグナー生誕70年の日)です。
弦楽四重奏版(任意のハープを伴う)と、ピアノ独奏版、オルガン独奏版があります。どのヴァージョンにもいくつか録音がありますが、クロノス・カルテットが高橋アキさんのピアノと共演した独特なヴァージョンも聴き逃せないものです。
また、ハーモニウムフリューゲルというリストが考案した珍しい楽器による演奏も心にしみいります。
このハーモニウムフリューゲルという楽器ですが、3段鍵盤の上段がピアノの鍵盤で、中段と下段がハーモニウムの鍵盤、ピアノのペダルが2本、ハーモニウムの送風機用の踏み板2枚、膝レバー4本というものです。リストの希望する通りの楽器を作ったのは、ハーモニウム製作者アレクサンドル父子とピアノ製作者ピエール・エラールでした。1854年に完成し、ヴァイマールのリストの家に設置されていたのですが、リストの死後、ヴィーン楽友協会に寄贈されたものです。
この楽器を使った次に挙げるアルバムはとても素晴らしい(というかたいへん珍しい)ものです。
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次に、ヴァーグナーの死を悼んだ曲としてよく知られたものには、ブルックナーの交響曲第7番がありますね。第二楽章は、ヴァーグナーの死の予感の中で作曲されたとフェリックス・モットルが伝えています。1月22日に第2楽章は一応出来上がっていたのですが、2月13日のヴァーグナーの死を知って、哀悼のコラールをこの楽章の最後に付け加えたとされています。
そういう曲ですから、いろいろな意味で、カラヤンが1989年4月18日~23日にヴィーン・フィルと録音した演奏が最もふさわしいと思います。
これは、カラヤンにとっても最後の録音になったものです。
もはや言葉はいらないと思います。ひらすら聴き入りましょう。
- ブルックナー:交響曲第7番/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 カラヤン(ヘルベルト・フォン)
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