夜の12時近い
とある駅のエスカレーター
ホームから乗り
上に着いたかなと
思った瞬間
バランスを崩し
ゆっくりと
下に1回 横転
立ち上がった瞬間
またバランスを崩し
下に1回 横転
まるで
スローモーションの映画を見ているように
風景が回転していく
ホームまで
この繰り返し
時間がゆっくりと
過ぎていくなかで
世界が横に回っていく
奇妙な感覚
エスカレーターは動く
現実を離れた世界
ホームにたどり着いたとき
血相をか変えて
駆けつけた数名の駅員から
「大丈夫ですか!!!」
そこで
現実世界に引き戻される
あまりの恥ずかしさに
「大丈夫です!!!」
脱兎のごとく
立ち去る
数日後
ぎっくり腰
エスカレーターに乗るたびに思い出す
痛い話