成瀬は信じた道をいく 著:宮島未奈 | my life without me

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デブでボッチなjedによる独り言。

 成瀬の偉業を讃えるコメディタッチのこのシリーズだが、結局、成瀬はゼゼカラと言うお笑いコンビとして地域起こしに精を出し、平和堂でアルバイトをして万引犯を捕まえる。そして大津市の観光大使に就任し、もちろん京都大学の学生にもなった。成瀬に憧れた北川みらいちゃんと言う八学年下の後輩の面倒をパトロールでして、最後の年の瀬、成瀬は探さないで下さい。と書き置きを残し、居なくなってしまう。当然家族と島崎みゆきも探すのだが、紅白歌合戦で大津観光大使の制服でけん玉チャレンジに参加していたのだ。2025年の年末を描いている。最後は島崎と初詣に向かい大吉を引いて終わりだった。

 

 完全なネタバレすいません。天下を取りにいくの方は大爆笑しましたが、信じた道をいくの方は微笑ましく読んでお終いでした。成瀬疲れしてしまったと言うか、少し飽きて来てしまってこんな感想しか書けません。やめたいクレーマーと言う成瀬が万引き犯を捕まえる章以外は書き下ろしのようです。

 

 でも、悲壮感の無いコメディタッチの幸せな気分に浸れる本は貴重です。なかなかこんな作家には巡り合わないです。普通、誰かが死んだり、病気になったりするのですが成瀬のお婆ちゃんが西部大津店の閉店と同時に死んだ以外はこの作品で死んだのは大貫が滋賀の小学4年生が自殺したと言うニュースを聞いてショックを受けたと言う記述以外には無いのじゃないでしょうか。人をほっこり幸せにするサクセスストーリーは今まで読んで来た作品とは似て非なるもの。読者を読まさせる文章構成力が抜きん出た作家だと思います。

 

 基本、小説のストーリーは書くに当たって、ヒーロー物語か成長物語か二択しか無いそうで、作家もそうやってプロットを書いて書き始めるんだとか。成瀬シリーズはでも両方の要素が混ざってるなと思いました。200年生きて大津にデパートを開業させるのが夢の成瀬あかり。スタンプラリーも制覇したし、紅白に出ると言う夢も叶えた。これからの成瀬はどうなるんでしょう。成瀬が恋をしたらどうなるのかな。成瀬に結婚と言うイベントや出産と言うイベントもやって来るのか。作者の宮島さん曰く、次の成瀬は京都大学で舞台は京都になるとテレビでは仰っていました。

 

 今後も成瀬に期待大です。以上