その子は諦めて。
寛太さんはそう言って
帰って行った。
サリーと赤ちゃんは
油性ペンには敵わないんだ。
なぜか、油性ペンと言う
寛太さんの例えが頭から
離れない。
私が何処かで一人で産んで育てる事にも、やめて欲しいと言っていた。
キッチンのカウンターには
寛太さんが持ってきてくれた
アイロンが置いてある。
数時間前に、
今からサリーちゃんの
アパート行っても良い?
って、電話してきた時は
まだ、寛太さんはお腹の赤ちゃんの事は知らなかった。
サリーが
ちょっとお話したいことが有ります。
と言ったあと、
一瞬、受話器の向こうの
寛太さんから、不安な空気を感じて
思わず
あ、寛太さん、アイロン持ってますよね?(寛太さんのアパートで見た)
アイロン、貸してもらいたいから
持ってきてくれますか?
って、頼んだので
アイロン片手に寛太さんは
アパートにやって来た。
サリーママと電話で話した後も
寛太さんの気持ちはハッキリしていた。
それでもこの子は私が守ると
言い張るサリーに
『じゃあ、何処にでも行きなよ!
アイロン持って!!』
アイロン持ってって。。
きっと寛太さんも
混乱してるのかも知れない。けど
サリーは泣いた。
一人で
アパートで泣いた。
なんで私はまだ19才なのか?
もっと大人だったら
一人でもこの子を守れるのに。
必要なのはアイロンじゃないのに。
続く。