おはなし、はじまるよー!!





金のオノと銀のオノ風



あるところにきこりが住んでいました

きこりは毎日、木を切ることが仕事です

きこりが使っているオノは錆びた古いオノでした


その古いオノできこりは毎日木を切ります


「もっと切れ味抜群のオノがあったらなー

全然切れやしないよ


もっと楽しい仕事はないかなー


木を切ったところで何になるんだ!だれも喜んでくれはしないじゃないか」



きこりは自分のオノも自分の仕事も不満でしょうがなかったのです


ある日きこりは泉の近くで木を切っていました

木を切っていると手がすべってオノが泉のなかにポチャンと落ちてしまいました


すると泉からは女神があらわれました

そして女神は言いました


「あなたの落としたオノは金のオノですか?それとも銀のオノですか?」


正直なきこりはどちらのオノも違いますと正直に話します


すると女神はこう言います


「それではあなたの落としたオノはこの錆びたオノですか?」



きこりは「はい、その錆びたオノです」と答え

女神から錆びたオノを受け取りました


きこりはまた木を切り始めます


「あんなピカピカの金のオノは見たことがない、おいらもあの金のオノが欲しいな!


あの金のオノで木を切ったらどんな気持ちなんだろう?

きっと切れ味が最高でどんどん仕事がはかどるんだろうな


もし金のオノをもってたら毎日みがいて大事にしてるんだろうな……」



自分のオノは古くて錆びている

大事にするところなんてあるのだろうか


きこりは思いましたが、少し思い出してみました


今まで一緒に木を切ってきたな~

このオノがなければ仕事ができなかったな


そういえば

長い間使ってきたから手に馴染んでいて使いやすいな


みがいてみたらもっと切れ味がよくなるかもな


一緒に仕事をしている仲間だからもっと大事にしてみよう


きこりは思ったのでした




次の日、きこりは


「今日も楽しく仕事をしよう!!」とオノに一声かけ仕事にでかけました



楽しく仕事をしよう!!感謝できるものを探してみよう!と心に決めた きこり


いつもと同じような日だけれど

空は青く雲がゆっくり流れ陽射しは心地よく

今まで気づくことのなかった自然の豊かさや

木があるからきこりができていることを感じました



雨が降る日もあるけれど

雨が降るから木が育つ

暑い日もあるけれど

太陽があるから木が育つ



必要なものはすでにそこにあって

足りないものなんてないんだと

きこりは一つずつ思い出していくのでした


木を切ることができてありがたい



この木でつくる家はどんな家になるのだろう?

ゆっくりのんびりできる家になったら素敵だな


家族で楽しく会話が楽しめる家になったら嬉しいな


暖炉の薪になって住んでいる人を暖めてくれるのも最高だ!!


この木で幸せになる人はたくさんいるんだ



きこりは自分の仕事がみんなの幸せに繋がることに気づいてうれしくなりました



きこりは毎日自然に感謝し、人々の幸せを想像しながら過ごしました



そんなある日、きこりのもとに一人の男性が訪ねてきました

その男性はきこりの切る木を使って家を建てたいと言ってきました


きこりは喜んで引き受けました


その男性のために木を切りました


いうものように幸せを思い描きながら木を切ります


そしてとても満足する家ができたのです


男性はとても感謝してきこりのもとを去りました


何年か経ちきこりのもとに

あの男性が訪ねてきました


男性は言いました


「私は海外を飛び回る仕事をしています

ですが、きこりさんの木で作った家に帰ってきたときは自分の時間を最高の時間にすることができました

リラックスしながら本を読んだり、家族との楽しい時間

数えきれないほどの幸せを感じるのです


ある時、行った国でこのオノをみてビビっときたのです

これはきこりさんのもとに届けたい!!


気づいたらきこりさんのもとにきてました


ぜひこのオノをもらってください」


きこりは

素敵なオノを頂きました


そのオノをみたとき

以前、金の斧をみたときの衝撃と同じような感覚になりました


きこりはその新しいオノと幸せに暮らしましたとさ



おわり


その後もきこりはどんどん拡大していくけどね❗️