ワット・アルン

三島由紀夫の遺作「豊饒の海」第3巻「暁の寺」の
モチーフになった寺院。

ワット・アルンに沈む夕日は素晴らしいと
某ガイドブックに載っていたので、
同じ宿の友達みよさんと拝みに行った。

そこは、ワット・ポー付近から、
船でチャオプラヤ川を渡るとすぐの場所。

陶器が建物一面に埋め込まれており、写真は遠目だから
わからないが、すごく色鮮やかでかわいい印象だ。

夕日を狙って夕方行ったものの、
寺を3周ぐらいしても一向に日が暮れる気配が無い。

つかれた・・・

なぜか、寺の中にパイプ椅子が2つあったので、
みよさんと仲良く座り、旅や仕事、家族や恋愛の事など
甘酸っぱい話で盛り上がる。

話し込みつつも「まだ暮れないね~」と
夕日を気にしてはいた。

でも暮れる気配は無くパイプ椅子を満喫していると
お寺の人がやってきた。

「もう閉めるから出てってください」

えーー!?

「だって、まだ夕日沈んでないのに困ります」

英語堪能なみよさんが説明している。

「ていうか、もう暮れ始めてます。
 その上、こっからじゃ見えないよ」

微笑みのタイ僧侶は、やっぱり微笑みながら
優しく夕日の見える場所を教えてくれた。

それはお寺の敷地外。

(ん?まさかうまい事追い出された??)

と、疑いつつも指定の場所へ走る。

が、時、既に遅し。
完全に日が暮れてしまう直前だった。
お寺に向かって、右下がちょっと光ってる程度だ。

「最悪や・・・3時間ぐらい待ってたのに・・・」

無計画な場所でくっちゃべってた自分達を省みず、
ただただブルーになっていた。

と、そこに
さっきワタシ達をお寺から追い出した
タイ人僧侶が近づいてくる。

「さっきの人、なんかこっち来るよ~」

「ナンパ!?もしかして、ナンパ!?」

と、妄想を膨らませつつ警戒していると
なにやら、手に冊子を持っている。

なんと、親切なことに
ワット・アルンの無料冊子をわざわざ渡しに来てくれたのだ。
渡すや否や、微笑みながら寺へ引き返していった。

綺麗な夕日は見れなかったけど、
そのタイ人僧侶の親切のおかげで
夕日以上のいい思い出になったと思う。

やっぱ、旅の醍醐味は出会いだな~♪