日本語には、擬音がある。

動物の音声や物体の音響を言語音によって表したり、
事物の状態や身ぶりなどの感じを
いかにもそれらしく音声にたとえて表した語。
<↑辞書参照>

(例)
「そこの道をバーーッとまっすぐ歩いて、
 2つめの信号をガーーッと渡って・・・」

と関西で道を聞くと、こんな感じに答えてくれるだろう。

「バーーッとまっすぐ歩く」「信号をガーーッと渡る」とは一体??

こんな言葉を挟んで話されたら、外国の方はさぞかし
訳がわからないと思う。

何も考えず使っている「バーーッとまっすぐ歩く」
「信号をガーーッと渡る」を自分なりに考えてみた。


まず、「バーーッとまっすぐ歩く」について

「まっすぐ歩く」だけなら、文字通り、まっすぐ歩く。
ゆっくりでも急いでもどちらでもいい。
時には、コンビニに寄ってジュースを買ったっていい。

でも、それに「バーーッと」を付けるとどうだろう?
わき目も振らず突き進め、しかもちょっと早足で!
という雰囲気になる気がする。

次に、「信号をガーーッと渡る」について

これも、「信号を渡る」だけなら、文字通り、渡る。
ゆっくりでも急いでもどちらでもいい。
横断歩道で老人がもたついていたら、手を貸して
談笑しながら渡ったっていい。

でも、これに「ガーーッと」を付けるとどうだろう?
黄色に点滅していても渡りきれ、ダッシュだ!
くれぐれも左右から襲ってくる車にだけは気をつけろよ!
ナニ?老人がもたついてるだと?
かついで渡るんだよ、バカヤロー!
という雰囲気になる気がする。


また、(例)の「バーーッと」と「ガーーッと」を
入れ替えてみる。

「そこの道をガーーッとまっすぐ歩いて、
2つめの信号をバーーッと渡って・・・」

特に違和感はない。

「バーーッと」は、速度メイン
「ガーーッと」は、勢いメイン
って気がするので、この(例)の文脈からいって、
どちらを使っても問題なさそうだ。

とはいえ、あくまでも、ただそんな気がするだけだ。
正しいか間違っているかはわからない。
25年間、日本語環境下で暮らしたワタシの解釈だ。
(かなり大袈裟だけど・・・)

擬音とは、このようにとても感覚的な描写であり、
感覚的に使用される、とても微妙な言葉だ。
感覚的描写ゆえに、あらたに作ることも可能だと思う。

知らない擬音があったとしても、
日本語経験値と日本文化経験値があれば
その擬音の感覚を掴み、意味を理解できることもある。


友達2人と飲みに行った時のこと。

友達①「その本の内容をバックリ教えてー!」
友達②「それはなぁ、まぁ、バックリ言うと・・・・」
ワタシ「・・・・・・??」

それまで楽しく夢中に会話していたが、
「バックリ」という擬音が気になってしかたない。
友達2人は、普通に使用している。

生まれて初めて耳にした擬音だ。
会話の流れから考えると、
「本の内容を要約して教えてー!」だろう。

ワタシ「それって、ザックリでは???」

あまりにも気になったので、話に割り込んで聞いてみた。
「ザックリとも言うけど、バックリってみんな使ってるよ」
との事。

ワタシの日本語経験値、日本文化経験値が低いからか
「バックリ」の感覚が未だわからない。

擬音ってホント奥が深いわ~。