ワタシは、よくゲストハウスの庭にいる。
いつものように、本を読んでいたら
若いんだか、年食ってんだか、年齢不肖な中国人が
理由のわからない笑顔を振りまいてくる。

ようわからんが、一応
会釈程度にニコリと微笑み、本に視線を戻す。
本に目を戻す事で、会話する気なしってことを
アピールしたつもりだったけど、
彼に通じなかったようで、私の前の椅子に座った。

「ニーハオ!」

それから、怒涛の質問攻撃が始まった。

名前は?年は?ナニ人?いつから成都にいるの?
いつまで成都にいるの?学生?何の仕事してるの?
次はどこへ行くの?どこから成都に来たの?
兄弟いるの?恋人はいるの?

好みのタイプとかならまだしも、
何の興味もわかない。
表向きには丁寧に、必要最低限のことを
お答えした。

「お腹すいてない?」と聞かれると、
「今、全然すいてないわ。」とワタシ。

「ショッピング行かない?」と聞かれると、
「今、必要なものは全部あるからやめとくわ。」とワタシ。

ちなみに、「どこショッピングいくの?」って聞くと
「スーパーマーケット」との事。
まぁ、ショッピングっちゃショッピングだけど、
スーパーかよ!より一層、株が大暴落する。

「スーパー行くけど一緒に行く?」とかなら、
スーパー好きだし、別にいいんだけど、
「ショッピング」でスーパーは、使い方間違ってないけど
なんか「おととい来やがれ」って気持ちになる。

「ひとりで旅行してるの?」と聞かれ、
「そうですよ。ひとりが好きなんです。」と、
今まさに、ひとりになりたいんですけど・・・って気持ちを込めて
答えたつもりだったが、予想外に自分に突き刺さる!

「I like alone.」

急に、まるで「一生ひとりで大丈夫なんで!」って
言った気分になり、ドキッとする。
実際大丈夫な気がするのがより一層恐怖だ。

中国人はそんなワタシの動揺に気づくことは
もちろんなく、話し続けている。

彼からの誘いは、全て断った。
今後の行き先も彼とは別で、ワタシのルートも教えた。
なのに・・・

「Do you wanna go with me?(僕と一緒に行きたい?)」

あえて英語で書きました!
なんで「want」が入ってんねん!!
こんだけ断ってて、なんで行きたいと思うねん!!!
今後の旅行どころか、
たった今も、ワタシはひとりになりたいっつーの!!
空気読めなさ過ぎて、笑えてくる。

「えー!なんでやねん!!ノー、ネバーですよ」

日本語交じりに答えて、本に集中すると
彼も雑誌を持ってきて読み始め、30分ぐらい
座っていたが、「See you!」と去っていった。

なんだったんだろう、あの人・・・
でも、ま、どーでもいいやぁ。
と、引き続き「三国志」を堪能した。

その日の夜、宿でネットをしていた時。
薄暗い部屋が、ピカッと光った!
他のお客も一緒に「なんだ?」ってあたりを見回すと、
なんと、昼間の中国人がカメラをこちらに向けている
ではないか!!
そして、「ハロウ!」と笑顔だ。

まさかそこまで空気が読めなかったとは・・・
ドン引きだ。

今後の彼の為には、ガツンと言ってやった方が
よかったんだろうが、苦笑いしか出なかった。

ワタシもまだまだ修行が足りんな。