いよいよ最終日。
今日、成都に帰れる。

おやつを買ってバスに乗り込む。
大きいがすごいオンボロバスだ。
動き出した途端、ガタガタすごい音だ。
バスの全ネジ緩んでるだろ?と不安になるほどの
ガタガタっぷりだ。

松藩の城壁を眺めながら、どんどん成都に
近づいていく。素直にウレシイ。
やっと、のんびりできる。

窓の外をぼんやり眺めていると、
意味はわからないが、丘の上に色とりどりの旗が
立てられている。
まるで、どっかの武将が野営してるんですか!?と
思わせる風景。
三国志を読んでる最中のワタシなので、
「蜀は、攻めるの大変だよ~」とニンマリ。

そんなマニアな想像に心をときめかせながら
成都到着。

ゲストハウスに戻り、
ほっと一息コーヒーを飲み、九賽溝・黄龍について考える。

「どっちもすごかった!」

って言うとバカっぽいが、本当にすごかったから仕方ない。
九賽溝で、初めて見た鮮やかな青い湖は衝撃的だった。
黄龍で見た棚田は、すごい風景すぎて今でも信じられず
感動に消化できていない。

共通する感想は、恐怖。
ワタシが考える、ワタシのイメージしていた自然風景を
この2箇所とも超えていた。
だから、違和感で、怖くなる。

九賽溝で見た星もそうだ。
あまりにも多すぎて、美しすぎて怖かった。
かつて旅したチベットでもそうだ。
青い空に浮かぶ雲が近すぎて怖かった。

自然って本当にすごい。
地球って本当にすごい。
凡人なワタシの想像力なんて及びもしない。

「私は、人の作ったものにあんまり感動できなくて、
 自然に感動するタイプの旅行者なんだ。」

と、言った友達がいる。

時代時代の贅の限りを尽くした
素晴らしい建築。素晴らしい城。素晴らしい町並み。
かつての栄光が眠る遺跡。

人工的な素晴らしい物もこの世にはたくさんある。
いつだって、心からワクワクするし、心から感動する。
でも、恐怖を覚えたことはあっただろうか?

世界中見て周った訳じゃないから断言はできないけど、
ワタシもその友達と一緒のタイプの旅行者かもしれないな。