ほぼ予定通り、バラナシ行きの列車はニューデリー駅を出発した。

ちなみにこの列車は、ニューデリー始発である。
もっと西から来ている列車が遅れるのは理解できる。
しかし、ニューデリーから出る列車なのに定刻に出ない・・・
これは日常茶飯事だ。

どんなに遅れて来ても、急がない。
遅れを取り戻そうとしない。

でも、それほどまでに遅れて来ても、
ホームで怒っているインド人を見たことがない。
彼らにとって“列車の遅れ”は、当たり前のことであり、
憤ることではないのであろう。

奴等がマヒっているのか、
ワタシが定刻通りな日本にマヒっているのか。


ワタシの座席は、2等寝台の3段ベッドの1番上だった。
その座席には、インド人の祖母・孫ペアと、インド人夫婦、
オーストラリア人の女性、ワタシの6人おり、
寝る時間までみんなで話したり、本を読んだり過ごす。
インド人にヒンディを教えてもらったり、
オーストラリア人を交えて、今までのルートを話したり
家族のことなどを話す。
ワタシは英語下手なので、彼らの忍耐力に感謝だ。
実に、有意義な時間であった。

次の日の朝、バラナシに着き、寝ていたオーストラリア人を
起こしてあげ、インド人に挨拶し、一緒にバラナシ駅に降り立つ。
荷物が多いため、分かれてサイクルリキシャに乗り
ダシャーシュワメートガートへ。
そこで、オーストラリア人と別れた。

『have a nice trip!』と言われ、
『you too!』と答える。

なんて爽やかなのだろう。
日本人同士でも別れる時、“よい旅を!”と言う。
これから未知の場所へ進むであろう友の、旅の成功を祈る。
こういう瞬間がワタシは大好きだ。

そして即効、友達の待つゲストハウスへ!
『サンダルが来たらこの部屋に泊まったらいい』と
宿のみんなで話してくれていたようで、
スペシャルプライスで泊めてくれると言う。

スペシャルプライスもありがたいが、
何よりその心遣いがうれしくて、お言葉に甘えることにした。

バラナシに来るのは3回目。
いろんな人がワタシのことを憶えてくれている。

ワタシは、よく沈没するが、
基本的には、国境を渡り進んでいく旅がとても好きだ。
しかし、ひとつの場所に何度も訪れる旅もいいなと、
最近ちょっと思う。