前回の続き


スケート場は、そんなに混んでいなかった。


私は小学校のスケート教室で、2回スケートを体験していたからなんとなく滑れたけど

スケートが初めての妹達は、おっかなびっくり滑っていて楽しそうにはしゃいでいた。


母も自前のスケート靴を持っていたから、それはそれはスイスイと華麗な滑りを見せつけてくると思いきや…


ベンチに座ったままニコニコとこっちを見てるだけ。

「お母さんも一緒に滑ろうよ〜」と誘っても、

「いいからあっちに行ってなさい」と追い払われてしまう。

そうやって、いつも平気で子供に寂しい思いをさせる母ショボーン


転んだり、スピードを出したり、妹やお兄さん達とのスケートが楽しくなって夢中になっていた。


ふと母が気になって、ベンチの方を見渡すと


一緒に来た大学生の中の1人のお兄さんと母が

すごく仲良さそうにしている。

ベンチに並んで座っていてイチャイチャしてる。小学生の私でもすぐに感じた違和感

これ、絶対ヤバいやつだ

お父さんにバレたらヤバい事になる!


もうスケートどころじゃない

早く家に帰りたくて仕方なかった


夕方そろそろ帰ろうと言う事になって、車に乗るのだけれど、私たち3人姉妹と母は違う車になった。


当時は分からなかったけど、

「あの時、母はあのお兄さんと2人きりになりたかったからそうしたんだ。」って思う。


車に乗り込むその瞬間!

強風に煽られたドアに、母は指を挟んだ。

罰が当たったんだ‼️

そう思って、すごく怖かった。


他のお兄さん達はどこまで知っていたんだろう…

知っていて、スケートの計画を実行したのだろうか?

もしそうなら、あんなに慕っている父を裏切っている事になるし、子供だった私達をだまし利用した事になる。

そう思うとすごく悲しい思い出



ドアに挟んだ指が相当痛いらしく、母は顔面蒼白だった。

そして、運転席のお兄さんも顔面蒼白になっていた。きっと、父にバレる事を想像していたのだと思う。


どうしよう…お父さんにバレたらどうなる?

今日のこと、私は黙っていられるけど小学生低学年の妹達は察して黙っていられるのか


行かなければ良かった

不安で胸が苦しくて仕方なかった事を今でも覚えている。