自分では登山などしないのに、やたらと未踏峰に憧れ、似た者同士の旧友と未踏峰&遭難事故について語り合ったことがあるのです。

 

こちらはヒマラヤ山脈の東端に位置するナムチャバルワという山について話をしていたつもりでした。

三方を大河に囲まれ、西側はヒマラヤという天然の要害と言うべきこの山、日中合同登山隊が1991年に登山を試み、雪崩によって一人が遭難したため撤退、しかしのちには登頂に成功しているんですね。

 

 

 

未踏峰の話題が出たところでナムチャバルワの話をしたら、旧友I君、

 

「京都大か。雪崩で数人が亡くなったんだよな。登頂はしていないだろ?」

 

あれ? 京都大だっけ? 遭難したのは一人じゃなかったっけ? 登頂はしているだろ? 

と不思議に思いながらも、ヒマラヤからチベットの山岳地帯への不思議な憧れを話題にして、地形図を見ながら「こんなところ行けないよな~」などと熱く語ったものでした。

 

で、あれから月日が流れ過ぎ。

 

もはやI君が今どこで何をしているかもわからないのだが。

互いに情報の食い違いがありながら話題にしたあの未踏峰、最近になってようやく、その食い違いの理由がわかった。

 

I君はナムチャバルワではなく梅里雪山の話をしていたんですね。

ユーチューブでこちらの話がお勧めに上がってきて、ようやく謎が解けたのです。

 

どちらも登頂にチャレンジしたのは日中合同の山岳チーム。

どちらも1991年に遭難事故。どちらも雪崩が原因。

 

あまりにも似すぎていた。地形図を開いてもお互い自分が語っている山の正確な位置などわからず、

しかもどちらもチベット南と似通った場所のため、話の食い違いに気づかなかったのである!

 

地球規模の話をすれば二つの山は近所ですから、そんな近所の山で似たような事故がほぼ同時に起きていたなんて、我々が互いに勘違いしていたのも不思議ではなかったのだ。