熱中している南極探検の本です。
現代は THE LOST MEN「消えた男たち」といったところでしようか。
翻訳された奥田さん、見事な邦題。
この奥田祐士氏はビートルズの歌詞の訳もされていますが、そろそろ史上最大の誤訳ともいうべき
SHE SAID SHE SAID も改めてほしいものです。
さて今回の本なのですが、ここのところずっと読んでいる南極点の話と関連が。
スコットが南極点到達したもののアムンセンに後れを取ったことは有名。
そこでスコットの最大のライバルだったシャクルトン、同国人としてイギリスの名誉回復も兼ねて、今度は南極大陸横断を志すのです。
この左上から下に向かって、犬橇で駆け抜けるというもの。
ただしそれが失敗に終わることはさらに有名な話ですが…
シャクルトンですが、ウェッデル海から人跡未踏の地を通過して、かつてシャクルトンそしてスコットが通ったルートに入り南極大陸を横断、という壮大な計画。
しかし横断には何日も、何十日もかかりますので、その期間に使用するだけの燃料食糧を運ぶのは不可能。
そこでシャクルトンは反対側の、かつてのイギリス人基地から南極点に向けてデポをつくらせるプランを考えました。
それが今回の本の主題。
まずはハットポイントから南緯80度まで。
そして続いて南緯83度まで。
そこから先には、かつてスコットが通過した時に残してきたデポもいくつかあるので、シャクルトンは何とかなるだろうと踏んでいた模様。
しかし通信機などがある時代ではないので、シャクルトンが遭難して南極点どころか大陸にも上がれないでいることを反対側の人たちは知りません。そんな彼らはデポを作り上げることに成功していました。
これだけでも偉業なのですが、シャクルトンはちっぽけなボートで荒れ狂う南極の海を横断するという大冒険を成功させたため、この支援隊の活動は忘れ去られたものとなってしまいました。
それで「消された男たち」という名前が付けられた、という次第。
支援隊はリーダーと部下がそりが合わず対立ばかりしています。
いかにして極地において彼らは偉業を達成できたのか。
シャクルトンの大冒険の陰になった支援隊のことも忘れたくないですね。