小野田さんのサバイバル物語も強烈なのですが、今回はアマゾンから先日届いた「日本のロビンソン・クルーソー」とも言うべき話を。

 

過去にも鳥島サバイバルの話には触れたことがありましたが、

 

 

 

 

 

 

それに関する本が届いたのでご紹介。本気でおすすめの本です。

 

 

ぢつは過去にこの本を買っていたのですが、完全にボロと化したため買いなおすことになった次第。

ジャケットも破れたり汚れたりしないようカバーも付けました。

 

さて鳥島とは。

 

 

東京都ということになっていますが、この通りの絶海の孤島。東京から580キロも離れています。

 

 

八丈島、青島は人が住んでいますが、鳥島は無人島。明治から昭和の前期にかけ、気象観測所ができたので移住した人も多かったのですが、火山島のため犠牲者が出て、再び無人島となりました。

アホウドリの生息地として厳重に保護されています。

 

 

気象観測所跡地が島の西に在りますが、その北、島の北西部に、「静岡の強烈すぎる人々」で紹介した船が漂着したようです。

彼らは島の北部、上の図でいうと入り江のようになったところの近くにあった洞窟で生活していたとのこと。

 

前にも記したように、彼らのうち3人は、ぢつに20年もの間、鳥島で壮絶なサバイバル生活を送りました。

まさに日本のロビンソン・クルーソーといったところ。

 

彼らの前にもこの鳥島に流れ着いた人々はいて、延宝九年(1681)には二艘の船(いづれも土佐)七人が半年近い無人島生活ののちに船を修理して帰国しています。

また元禄十年(1697)には鹿児島の志布志の船乗り五人が三ヶ月ほどここで過ごし、船を修理して帰国しました。

 

参考文献がこちら

 

 

静岡の壮絶なサバイバル物語の後には、宝暦三年(1753)に大阪の船(五人乗り)が漂着。二人だけが生き残り、六年後に流れ着いた二艘の船の人々と合流し、力を合わせて帰国を果たしました。なおこの二人のうち一人は、後から来た船の主の下で働いていたことがあるそうで、不思議な因縁があるものです。

 

「静岡の強烈すぎる人々」に対抗しうるのは、今回届いた本のもう一人の主人公。土佐(高知県)の長平。

吉村昭氏の著書『漂流』(新潮)が有名。

 

Amazon.co.jp: 漂流 (新潮文庫) : 昭, 吉村: 本

 

長平ら四人は天明五年(1785)に鳥島に漂着。仲間たちが次々に死んでいき、無人島にたった一人残された長平。

その後大阪の船の乗り組み十六人、鹿児島志布志(またか!)の船乗り六人が相次いで漂着し、彼らは力を合わせて木材を集め、鉄を溶かして釘や道具類を作り、苦心の末に一艘の船を作り上げて青ヶ島に辿りつきます。そこで島に住んでいた男たちの力を借り、八丈島へ。

長平が遭難してから帰国するまで十三年が過ぎていました。静岡の船乗りより短いとはいえ、うち一年半はたった一人の孤独な生活ですから、ここを生き延びた精神力は並大抵ではないですね。

 

『漂流』の著者の吉村さんと会い、昼食会でこの小説について話題にしたこともありました。小説にするために史実を変えて物語を作ったことは研究家からも指摘されていますが、小説としての面白さは太鼓判。

 

 

保護区となっている鳥島に行くことは出来ませんが、せめて高知県の長平の墓と銅像は、時間と金の余裕を見て訪問してきたいと思います。