「どうしよう
言ったらいいのか
迷ってる」
といっても、もう下りてしまったし…。
桜通り線。
１本早いのに乗れた、ラッキー‼︎
と思って座席に着いた。
ふと目をあげたら目の前の学生風の女性が大きなおにぎりをムシャムシャと食べているではないか⁉︎
コンビニよりも1.5倍は大きいおにぎり。
海苔もこれ見よがしにしっかり張り付いていた。
自家製と一目でわかる。
「美味そうだね～」
声をかけたくなるほどの食べっぷり。
イヤホンをして何か音楽を聴いて自分の世界を作っていた。
それを周りが気を使って見ないふり…。
でも私は見ていた。
ハラリとこぼれたご飯の塊が膝にのせたバッグと上着の間にこぼれたのを。
本人はまったく気づく様子はない。
あのまま上着かバッグにこびりつくんだろうな…。
思ってはみたものの「こぼしたよ！」の声をかけることができないまま地下鉄を下りた。
言うかどうか、私は迷える大羊だったのだ。
地下鉄は乗る人の数だけドラマを抱えて、今日も名古屋を走っている。