国境なき医師団の左手

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先日、様々な経営者が集まる

ちょっと遅めの新年会に

ご招待いただきました。
 
新年会には近鉄、巨人で活躍した

元プロ野球選手で現参議院議員の

石井浩郎さんをはじめ、

プロマジシャン、モデルさんなど

多彩な顔ぶれでとても楽しい時間を

過ごすことができました。
 
ちょっと思うところがあったので、

この時の事をシェアさせていただきます。
 
その新年会にはほとんどの方が

フォーマルな服装で参加してたが、

ひとりだけラフな格好で

参加された方がいた。
 
真っ赤な上着にヒゲは伸び放題、

髪は肩まで伸びていてボサボサだ。
 
お笑い芸人ロッチの中岡さんをスリムにして

ヒゲを伸ばした感じといえば伝わるだろうか?
 
さながらベトナム反戦運動のヒッピーだ。
 
おまけに彼の左腕はギプスで固定され、

少し痛むのか右手でギプスの左手を支えている。
 
他の参加者とは明らかに異なる雰囲気を

醸し出していた。
 
乾杯をしてひと通り落ち着いた頃、

私は名刺交換をすべく、

まず自分の席から近い

ヒッピーの彼のテーブルに。
 
私が名刺を差し出すと、

彼は名刺を持っていないと言う。
 
連絡先や詳細はこの方に聞いてください

と言って、

目の前に座る連れの方を指差した。
 
ん?聞いてください? 
 
まぁいい。
 
どんな仕事をされているのか聞くと、
 
「海外で支援活動をしています。」
 
とあっさりとした返事が返ってくる。
 
この時点で私は

多くを語らない彼に興味津々だ。
 
めげずに色々と質問していくうちに、

どうやら国境なき医師団に所属する

ドクターだという事が分かった。
 
「その左手はどうされたんですか?」
 
「ちょっとしたアクシデントで。。」
 
Siriと話をしてるようで
全く話が進まない(笑)
 
すると、

連れの方が彼について

色々と話しはじめた。
 
この方は身なりもちゃんとしていて饒舌。
ヒッピーの彼について

色々と明らかになってきた。
 
彼のお父様もドクターで、

中日友好病院の初代内科部長だったらしい。

海外支援活動に尽力された立派な方だそう。
 
お父様の影響で、

はじめは半ば強制的に

国境なき医師団の活動を

することになったのだとか。
 
そんな彼が海外赴任中のある日、

婚約者の方が

急性白血病であることを知らされる。
 
あまりにも進行が早く、

海外にいた彼は婚約者の最後を

見届けることができなかったらしい。
 
このことがきっかけで、

自分に託されたもの、

自分の人生における役割について

見つめ直した。

 

婚約者の命は一体何だったのか?

何のために自分は生きているのか?
 
それ以後、ほとんどボランティアである

国境なき医師団の活動を続けている。
 
国境なき医師団は

主に紛争地域で活動するため、

常に命の危険がつきまとう。
 
医師団はテロ集団から身を守るべく

銃の取り扱い方法を教わるのだとか。
 
しかし彼は、訓練を拒み続けた。

 

医師である私は、

たとえテロリストであっても人は殺せないと。
 
身の危険を案じた仲間から説得され

銃の操作は学んだが、
 
「テロリストを殺す状況になったら自害する。」
 
と言って、

自害する方法を学ぶために

訓練を受けたのだった。
 
怪我をした左手を痛そうにしていたので

声を掛けると、

トイレに行くと言って席を立った。
 
連れの方がさらに続ける。
 
「先生が悪いわけではないんです。」
 
彼の左手の怪我について語り始めた。
 
アフリカのある紛争地域に

赴任している時の事。
 
死に直結する疫病に感染した子供達が

たくさん病院に駆けつけた。
 
しかしワクチンの絶対量が足りない。
 
そんな時はどうするのか?
 
症状の度合いによって、

医師が「命の選定」作業を行うのだ。
 
皆命の危険にさらされており、

ワクチンを打たなければ死んでしまう。
 
そんな状況だった。
 
それは、

他のドクターが「選定」した子供達に対し、

彼がワクチンを注射していた時に起こった。
 
背後にただならぬ殺気を感じた彼が

ふと後ろを振り返ると、ハンマーを持って

鬼の形相で襲いかかってくる女性が。
 
とっさに頭を避けて

頭部への致命傷を回避した。
 
しかし防御した際、

左手をハンマーで強く叩かれて

粉砕されてしまったのだ。
 
「選定」によってワクチンを

受けることができなかった子供の母親だった。
 
私も2人の子を持つ親として、

この母親の気持ちは痛いほどわかる。
 
この話を聞いた時、

怒りの矛先が見えない、

何とも言えない感情が込み上げて来た。
 
この時のゲガを手術する為に帰国したという。
 
海外では設備が整っていないため対応が遅れ、

処置が適切でなかったらしい。
 
連れの方はさらに続ける。
 
「彼の左手は、もしかしたら

今後自由に動かす事は

できないかもしれません。

彼は左利きなんです。」
 
席に戻り黙って話を聞いていた彼は

物静かに口を開いた。
 
「人の命を預かる者として、

今後患者にオペをするつもりはありません。」
 
そう言って遠くを見る彼の目は

とても綺麗だった。

そして腹を決めた者が持つ、

力強く、深い目をしていた。
 
左手の治療の目処がたったら、

また紛争地へと旅立つのだろう。
 
このところ、

自分の夢は一体なんだろう? 

本当にやりたい事はなんなんだろう?

と考え悩んでいたが、

いまだに答えが見つかっていない。
 
夢と言われてもいまいちしっくりこなかった。
 
ここ数日、考えて考えて導き出した答え。
 
私が探していたものは夢ではなく

「志」だったのだということ。
 
ここまで来るのに時間を要したが、

来週には「志」が確定する予定。
 
あとは具体的に目標に落とし込み、

それらを実現するための

計画を立て行動するのみだ。
 
「夢ではなく志」
 
何となくそうなのかなーと思っていた事が、
玉置さんの志体術セミナーのおかげで

確信に変わった。
 
お誘いいただいた玉置さんには本当に感謝。
 
私は人との出会いに恵まれている。

そして人に支えられているんだなと最近切に思う。

 

素晴らしいご縁を

大切にしていきたい。

追伸
ヒッピーは写ってません^^;
あしからず。