【ゼンマイ】
僕には1歳下の弟がいる。
弟は未熟児で900gしかなく、
生まれた瞬間から生死を彷徨い、
一命をとりとめた。双子だったが
そのかたわれは助からなかった。
幼い頃はボーッとしていて、自分の
意見を主張するタイプでもなく、
兄の傍若無人な振る舞いにも
我慢してくれていた。
そんな弟が大学を卒業後、大阪の高等支援学校の教師になった。支援学校とは軽度の障害をもつ子どもが通っている学校。
そんな弟から特別授業で生徒の前で授業をして欲しいと連絡があった。テーマは『夢を追いかける人』。夢を追いかけている人から生徒に向けてメッセージをと言う依頼だ。
職員会議でも決まり、僕に依頼があったのだが、まだ成功もしてないし、夢半ばの自分で生徒の皆さんに伝わるものかと、とても不安だが、他の先生方の押しもあり引き受けることにした。
本番は6月中旬。その打ち合わせに先日学校に行ったのだが、学校の皆さんも楽しみにしてくれているみたいで、50分間でメッセージを送れたらと思っている。
先生方との打ち合わせ中に弟の話も出たが、『熱心に頑張っている。凄く面倒見が良くて、生徒のからの信頼も厚い。』と言う言葉を聞いて、自分の事の様に嬉しくなった。
あんなにボーッとしていた弟が人に勉学を教え、慕われているとは、10年前には想像も出来なかった。
そして、帰り際に弟が部活動をしている場所へ行き、生徒の皆さんに挨拶をしたのだが、多くの生徒に囲まれ一緒に汗を流している弟を見て、胸の奥が熱くなった。
自慢の弟に少しでも協力できることがあって嬉しく思うのと同時に、自分も負けていられないと心のゼンマイを巻いた。
弟は未熟児で900gしかなく、
生まれた瞬間から生死を彷徨い、
一命をとりとめた。双子だったが
そのかたわれは助からなかった。
幼い頃はボーッとしていて、自分の
意見を主張するタイプでもなく、
兄の傍若無人な振る舞いにも
我慢してくれていた。
そんな弟が大学を卒業後、大阪の高等支援学校の教師になった。支援学校とは軽度の障害をもつ子どもが通っている学校。
そんな弟から特別授業で生徒の前で授業をして欲しいと連絡があった。テーマは『夢を追いかける人』。夢を追いかけている人から生徒に向けてメッセージをと言う依頼だ。
職員会議でも決まり、僕に依頼があったのだが、まだ成功もしてないし、夢半ばの自分で生徒の皆さんに伝わるものかと、とても不安だが、他の先生方の押しもあり引き受けることにした。
本番は6月中旬。その打ち合わせに先日学校に行ったのだが、学校の皆さんも楽しみにしてくれているみたいで、50分間でメッセージを送れたらと思っている。
先生方との打ち合わせ中に弟の話も出たが、『熱心に頑張っている。凄く面倒見が良くて、生徒のからの信頼も厚い。』と言う言葉を聞いて、自分の事の様に嬉しくなった。
あんなにボーッとしていた弟が人に勉学を教え、慕われているとは、10年前には想像も出来なかった。
そして、帰り際に弟が部活動をしている場所へ行き、生徒の皆さんに挨拶をしたのだが、多くの生徒に囲まれ一緒に汗を流している弟を見て、胸の奥が熱くなった。
自慢の弟に少しでも協力できることがあって嬉しく思うのと同時に、自分も負けていられないと心のゼンマイを巻いた。