大介は痛む腹を押さえたまま、薄目を開けて喧嘩の一部始終を盗み見ていた。
そして、心底思った。
「あれが…あれがイナバタイヨウ嘘だろ、これが中学生の喧嘩?頭,張るって事はこんなにしんどい事のか…あれが、…よし明日謝ろう、必ず謝ろう。」
自分の甘さを痛感した大介は反省の念を抱(いだ)き、死んだふりをして喧嘩を観戦していた。
実際ボディに食らったパンチのせいで今だに動けない。
何故、死んだふり?
もちろん、巻き添えは二度と御免だからだ。
だから、応援する。
だれを?
稲葉太陽を。
「ガンバレイナバ」
頭の中でエールを送った。
茶髪に顔面を蹴られた太陽は顔を手で押さえ、坊主頭に重なり合う様に、前のめりに沈んでいった。
坊主頭を助け出そうと太陽の肩を掴み強引に引きずり離そうとする。
その時「ガバッ」
最後の力を振り絞り太陽は右手を伸ばし茶髪の胸倉を掴んだ。
「ウァッーーーッコノ、キチガイが」
恐怖にも似た叫び声で、その手を振り払うと物置の隅に転がっていた、傘立てを持ち太陽の背中に叩きつけた。
つづく