脳科学を簡単に考える場合、理性と本性(本能と考えてもいいでしよう)に分けて考えることがあります。何かの場面で、「あーやって、こーやって、やるとうまくいく」などと考えるのは理性の方で、何も考えないで対応することは本能の方と考えていいでしょう。

周りの人たちを見渡した場合、「根明な人」や「根暗な人」、「いつも悩んでいる人」や「のんきな人」などいろいろな人が存在しています。これらはすべて脳の仕業です。その他「真面目な人」や「サボってばかりの人」もいます。

人に関わる本を読んでいると、いろいろな本の出合います。「人間機械論」、「人間工学」、「人間科学」・・・しかし、「悩み方の研究」みたいな本はありそうでないのです。しかし脳科学では、悩み方についても多くの示唆を与えてくれます。

人を考える場合、現在の本人、家系的な人、人の歴史を背負った人、哺乳類の人、生物的な人と考えていくことになります。人は受精卵から成長する過程は、生物の進化の過程を辿ると云われています。ここでは詳しい説明はしませんが、胎児の写真などによっても確認できます。

つまり、現在のあなたを形成しているのは、歴史的な人がほとんどで、あなた自身の部分はあまり多くないことが分かります。あなたにいろいろいな問題があったとしても、それはあなた自身の問題だけでなく、人の歴史的過程に起因するものが多いと考えられるからです。

人には自己防衛本能というものがあります。これは外敵から自分を守るために備わった能力とも理解できます。ひどく疲れてしまった時に、仕事などをサボるのも自己防衛本能の仕業です。依頼された出来そうもない仕事を断るのは普通の反応ですが、出来るのにもかかわらず断ってしまうのは、過剰な自己防衛本能が働いていると考えることができます。その過剰な反応は過去の経験に起因することが多く、例えば、安易に引き受けてしまった仕事が出来ずに失敗を被った場合などにそのような反応が形成されてしまいます。

同じような失敗が何度もつづく場合、それらの反応は固定化し定着してしまうことになります。これらは経験から学んだものとした位置づくことになります。異性を見た時の反応もそうです。見るだけでなく、意識するなどの進展がある場合、過去の揺るがない経験が異性との関係を縛ってしまうことがあるのです。

うつ、自傷行為などは、脳のある部位が正常に機能していないなどのことが最近になって分かってきました。これらの部位には海馬や偏桃体などがあり、記憶と大きな関係があります。セロトニンやグルタミンなどの物質との関係が最近になって明らかにされてきました。

これは偶然ではあるのですが、LSDの影響などを研究する中で明らかになったことのようです。脳の機能の不思議な側面を表すものとも言えます。毒と言われる物質でも、ごく微量では予想もしなかった特殊な作用を引き起こすことがあることなどが分かってきています。

環境ホルモンといわれるものも、ごく微量では影響は大きいものの、かなりの量では影響が出にくいなどの理屈では説明できなことが明らかになっています。ストレスの原因であるストレッサーについても同様のことがあります。
つまり、ドカッと怒られるより、少しづつ何回も怒られることのダメージが大きい場合が多いのです。

さて、自分ひとりで抱え込まなくてよい問題、とは何でしょうか

これまでは、自分が100%自分と思っていたわけですが、これからは自分は15%残りは人類の歴史を背負った部分であると考えていいでしょう。つまりいろいろな問題があったとしても、それはあなただけの責任ではないということです。とは言っても、問題を抱え込むようなことはいけません。なるべく問題を抱え込まないことは大事なことです。

ではどのようにして、問題の責任を人類の歴史を背負った部分に押し付けるのかということになります。それは簡単なようで簡単ではありません。

一つは、理性によって本能を鍛えるということが要求されます。これは規則正しい生活を行うことに他なりません。二つ目は、不要なものを抱え込まない。つまり余計なものを所持や所有しないということです。必要最低限のものを身につける、身近に備えておくみたいなことになります。三つ目は、良いことを行う。自分に良かれだけでなく、他人においても良いことを行うというものです。最近の言い方をすれば、お互いwin-winの関係というようなものです。

その上で、様々な問題に対処していきます。様々な問題が生ずる原因いは、自分だけでなく、他人との関係か発生する場合が多いからです。自分の責任、他人の責任をよく見極めて対応することに他なりません。しかし時として他人を助ける必要があります。他人を助けるためには自分がしっかりしなければなりません。

自分がしっかりすると自分の周りからいろいろな問題が消えてしまいます。不思議ですが、そのようになります。良く考えてみると当たり前のことであることが分かります。