毎年この時期は東京の自宅を離れることにしている

去年は甥と姪が遊びに来たので失敗したが、うちの周りはごった返す

三社祭の季節だからだ。

うちの入り口でさえ交通規制の道を迂回してやっと辿り着き、人の流れが切れたとこでやっと入れるが、不思議と怒りのようなものはない

「慣れと言う物はおそろしい」

毎年これだから慣れてしまい、仕方ないと思っている

随分前、社会人になったばかりの頃せっかくだから親元を離れようと、賃貸をさがしに街の不動産屋に飛び込んだ

そこに居た茶髪のチンピラみたいなオッサンに俺の勤務地と、できれば下北沢だとか当時若者カルチャーの中心的な中央線沿線あたりが…と言ったら

ため息をついて「お兄さんね、やめたほうがいいっすよ下北とか」と

「皆あのへん住もうとするから狭いのに単価ばっかり上がっちゃって」

「それよりココ！浦安。舞浜これおすすめだから、新築でこの値段。鉄筋よ！」

一気にまくしたてられた。

いくらだったか忘れたけどありえない安い値段だった。そして

「それよりココ！浦安。舞浜これおすすめだから、新築でこの値段。鉄筋よ！」

この言葉はその年の俺的流行語大賞をとった。何かにつけ思い出す。

その内覧に行く道中に教えてくれた。この物件はある水産会社が自社の社宅と独身寮として浦安に建てた3棟のうちの1棟で、ここだけ埋りきらなかったと。

で、空き部屋にしておくのも勿体ないから安く賃貸でだしたそうな

「下北あたりにしなくて良かったって思えるとこだから」

自信満々である。まぁ値段がね安いし

で、この物件の5階の角部屋、案内されて1番に見せられたのが…景色

「お兄さん、アレ見て」とチンピラ不動産が指さしたのが…

これ

夢の国のシンデレラ城

1.5kmほどの直線距離だったんで伸ばした腕の小指の先より一回りか二回りくらい小さく見える程度だが。当時高い建物がなく良く見えてたね

結局ここを借りることになるんだが、20時30分くらいになると花火があがり

これも良く見た。消さなくていいのに電気まで消して楽しんだ

彼女や友人、姉や親にまで見せたりした

最初はね。

そのうち時報程度になって、音がなるとうるせーなとか思うようになって、やがて

あれ？今日鳴ったっけとか気にも留めなくなる

これが「慣れ」なのだろう

なんでこんな事を書いたのかと言うと

群馬でお茶してるとき渋沢栄一の本ペラペラと読んでたんだけど

『慣れることに慣れるな』って一節があって

たしかにそうだなぁと思って

綺麗な虹だって毎日出てたら感動は薄れるし、やがて虹なんか見なくなるだろう

繰り返しの行動もそれが精進や努力であれば、結果はどうあれ次にどうすべきか

わかるし、悩めるし。しかしただのマンネリ化された行動なら時間の浪費でしかない

長文になっちゃった

さて東京に帰らなくちゃなんだがまだ三社だよね

【MV】アイリフドーパ(AILIFDOPA)「Shimokitazawa」

この人達はあんまり売れる気がないんだな多分

三社祭からの逃避行そして慣れるな